2013年10月7日月曜日

内向型人間の時代

スーザン・ケイン『内向型人間の時代』 (講談社)


2012年1月にアメリカでベストセラーとなった本。誰に対しても笑顔で、騒ぐのが大好き―そんな外向型人間が多いとされるアメリカでも、2分の1から3分の1は内向型で、ほとんどの人間は仮面をかぶっている「偽外向型」だという。

心理学の研究、内向型の偉人(エレノア・ルーズベルト、ウォーレン・バフェット、マハトマ・ガンジーなど)のストーリーを紹介することで、(アメリカでは軽視されている)内向型の持つ長所についてフォーカスを当てている。

知的でありながら硬さを感じさせない語り口で、約350ページにも及ぶ本にもかかわらずスラスラと読める。元の語り口も巧妙なのだろうけど、古草秀子さんの翻訳も秀逸です。

ぼくは自分の性格を再認識する上で役に立った。教室で周りと遊ばず一人で本を読んでいる子供や、パーティーであまりにも多くの人と会うことに疲れる男性など、自分の経験と重なる話がたくさん登場する。
ぼくは13歳で初めてオフ会に参加したときから、懇親会などの席で皆がどうして簡単に笑っていられるのか理解できなかった。当時のぼくにとって笑うこと、しゃべることは「意識的な努力」で、エネルギーを大量に消耗しなければいけなかった。当然そのようなイベントの後日は身体の非常なだるさという形で尾を引く。
以降経験を重ねて、積極的になることで学べることもあるということに気づいて、そのような振る舞いには慣れていったものの、自分自身は内向型で大半の時間を一人で過ごしている方が好きだと思う。

本書の注意点としては内向型の長所を強調しているので、自分の性格を無視して「自分も内向型だから本書で書かれているように風に振舞ったほうがいいのではないか?」と考えてしまいがちな点。外向型が良しされる風潮のアメリカ人向けに書かれていることを忘れてはいけない。日本人の基準から見ると誇張的な表現が多く見られる。

ぼくが読んで特に印象が強いのは第9章で、第9章には内向型人間が「社会でどのように振舞えばいいか」についての記述があり、それについて「セルフモニタリング」という、周りの状況に合わせて自分の行動をコントロールする技術が紹介されている。
第9章に出てくる内向型の一人、アリソンは内向型で自分の行動を社会に合わせている(セルフモニタリングをしている)。しかしどうみても幸せそうにはみえない。内向型で同じように社会に適応して幸せな人間もいるというのに。

続く次の鋭い言葉にぼくは特に感銘を受けた。「アリソンは今の仕事が心から好きではないのだ」。「心の中で自分ではない人間になることが成功への道だと思っていた」。「それではセルフモニタリング単なる自己否定だ」。

この「自分を変えなければいけない」「自己否定」というのは日本人が陥りがちな罠だと思う。積極的にならなければいけない。よく言われている言葉だけど、持って生まれた気質はそう簡単に変わらないし、積み重ねてきた人生の影響も強く残っている。自分を振り返って変えたい部分は変える努力をしてもいいと思うけど、変な脅迫観念にとらわれるよりは自分の持っている気質や能力の長所に目を向けたほうがいい。
ぼくにこのように自分の本来の性格に対する理解を深めることができたと思う。

本書に興味がある、しかし分厚い本を読んでいる時間がないという方は先にスーザン・ケインの約20分のTEDスピーチを見てみるといいかもしれません。

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