2014年4月14日月曜日

[レポート] Hearthstone日本初のオフライントーナメント! 誰が初回優勝者になったのか?

 4月9日に日本発となるオフライントーナメントが開催され、e-Sports SQUARE AKIHABARA(e-SQU)には大勢の人たちが集まった。前回に続き、今回も私nemukeがプレイヤーとして参加したので、その内容をお伝えしたい。



写真:イベントのチラシ


■イベント形式
 今回のオフライントーナメントでは、参加者は受付でイベント費用の1,500円を払い、リーグ戦の組み合わせを決める番号のくじを引く。それが終われば、参加者一覧表にリーグ戦番号・プレイヤーネーム・ランク・好きなカードを記入して登録が完了する。今回の参加定員は20人。受付終了30分前の18時過ぎの到着した私はギリギリ19人目で参加登録を済ませることができた。もし来るのがあと10分遅かったら定員が埋まってしまい、体験レポートをお伝えすることができなかったかもしれない(苦笑)。イベントに参加するときはなるべく時間的余裕を持っておかなければならない。



写真:参加者リスト

 なお、今回のイベントはオンラインの事前参加申し込みを受け付けていなかった。しかしイベント受付が平日の18時半までだと、社会人の場合、間に合わなくなってしまう人も多いだろう。事前の受付なら社会人でも安心して参加できるのではないだろうか。「参加人数がオンラインですべて埋まってしまうと、それ以外のプレイヤーが来場してくれない」という懸念をe-SQU側が持っているのであれば、「事前申し込み枠15人と当日参加枠5人」のように2つの枠を用意する手もあると思う。

 受付を済ませたプレイヤーはHearthstoneイベント用の席に案内される。イベントで使用するPCの数は中央の10台とステージ上の10台の合計20台。イベントの間も飲食可能エリアの席は通常営業中で、もちろん、そこにはLeague of Legends(LoL)など別のゲームのプレイヤーも多く集まっている。



■思いがけない再会

 私が席に着いて練習しようとすると、「おう、nemukeじゃないか!」という元気な声が聞こえてきた。以前Cross FireやCounter Strike 1.6といったFPSのジャンルでプロゲーマーとして活躍していたbarusaさんだ。実は私は2010年秋に中国・武漢で開催された国際e-Sports大会Internatioonal E-sports/entertainment Festival 2010にWarcraft3の選手として参加したのだが、そのときCounter-Strikeの選手だった彼とも一緒だった。久しぶりの再会である。(IEF2010のブログ記事のまとめはこちら)barusaさんも自分のブログに日本代表として参加した世界大会や戦術のガイドの記事などを掲載している。

 それにしてもFPSのゲーマーだったのにどうしてHearthstoneを始めたのか? 「遊戯王オフィシャルカードゲームなど、ほかのトレーディングカードゲームをプレイしていた関係で知り合いからHearthstoneを教えてもらって、やるようになったんだ」というのが彼の答えである。すでに随分やりこんでいるらしく、今回も早めに会場入りして友人と一緒にゲームを回していたようだ。大会への意気込みを聞くと「もちろん優勝するつもりでやる。参加者の様子を見た感じ、Aggro Mageなどのデッキが多い印象だから、こちらも手札事故が少ないAggroデッキがいいと思うよ」と自信を隠さなかった。試合が始まるまでに私もbarusaさんと対戦してみたのだが、あっさりと撃沈され、実力の違いを思い知らされたのだった。


 写真:友人のyottiy4さん(左)とbarusaさん(右)

 barusaさんの隣で一緒に練習していた友人はyottiy4さんである。彼は元遊戯王オフィシャルカードゲームのプレイヤーで、Hearthstoneではなんと最高レジェンダリーランク13位まで登り詰めたことがあるという。カードゲームに慣れ親しんでいるyottiy4さんにとって遊戯王オフィシャルカードゲームとHearthstoneにはどんな違いがあるのだろうか? そう聞くと彼は「一番大きな違いは時間ですね。遊戯王は(カードのシャッフルなどもあって)1ゲームに1時間ぐらいかかるんですよ。その点でHearthstoneは1ゲーム10分ぐらいで終わるから、そこがいいですね」という。


 写真:barusaさん(Handloc)とyottiy4さん(Control Warrior)の対戦の様子

■いよいよリーグ戦開始!
 リーグ戦の開始時間の19時となると、「それではリーグ戦を開始します!」というアナウンスが聞こえてきた。リーグ表を手書きしたホワイトボードがステージ上に置かれ、店長の井上さんとスタッフのSasaさんからルールの説明が行われた。


写真:店長の井上さん(左)とSasaさん(右)がホワイトボードと共にマイクで説明

 今回のオフライントーナメントは20人の参加者を5人ずつ、受付で引いたリーグ戦番号順に1番~5番、6番~10番、11番~15番、16番~20番というABCDの4グループに分けてリーグ戦を行い、各グループ最上位の合計4名が決勝トーナメントに進出して優勝を争うという流れだ。この5人1組だとほかの4人が対戦している間、1人は対戦相手がいなくなるのだが、その1人は試合の記録係を担当し、試合結果をスタッフに報告する役割を果たすのである。対戦の組み合わせはリーグ戦番号で管理され、ホワイトボードにその対戦順が書かれていた。たとえば最初のゲームでは1番対2番と3番対4番の対戦を行い、5番が記録係を担当するという具合だ。なお私は18番だったから、グループ内では3番とみなされる。


写真:リーグ戦の対戦順

 以上の対戦方法の説明はマイクによる音声だけで行われた。けれども今回のようなやや複雑な対戦方法はマイク音声の説明だけでは伝わりにくいのではないかと思う。私自身、「試合ごとにプレイヤーは席を交換するのか?」「記録係は固定なのか?」といった細かい部分で疑問を持ってしまった。できれば「進行方式を説明したパンフレットを用意する」または「説明中パワーポイントで作成したルール資料をスクリーンに表示する」などといった視覚に訴える説明方法も用いたなら、参加者も細かいルールが理解しやすかったに違いない。それはまたスムーズな運営の助けにもなるはずだ。

 ルール説明が終わると各グループのプレイヤーの名前がアナウンスされた。それでプレイヤーはステージに上がり、同じグループのプレイヤーとそれぞれ熱い握手を交わした後、自分の席に移動していった。私のグループDはdosutoさん、HIRAMAXさん、voidさん、Littleorcさんだ。そして、店長の井上さんが「ゆるくガチでやりましょう!」とユーモアあふれる言葉で説明を締めくくって、トーナメントがスタートしたのである。


写真:私が入った予選グループDのリーグ表

 今回も予選の一部の試合は大スクリーンに放映された。解説は前回・前々回でもおなじみのSasaさんで、実況はeyesさんが担当した。しかしeyesさんは本来LoLの実況者である。しかも彼はシャツにジャケットといういつものスタイルではなく、カジュアルなグレーのパーカーを着たオフの格好だ。そんな彼がどうしてHearthstoneの実況を行うことになったのだろうか? この疑問を直接本人にぶつけてみたところ、「実は別のスタッフが今回の実況をやる予定だったんですけど、体調を崩してしまって出られなくなってしまったんですよ。それで配信の(セッティングのために)スタンバイしていたぼくが急遽借り出されてしまって。Hearthstoneのことは詳しくないので、開き直ってSasaさんにいろいろ聞きますけどね(笑)」と話してくれた。そんな彼もいったん実況の席に入ると「ああ、これは(遊戯王のアニメで言うところの)『おれはこのモンスターを場に出してターンエンド!』という場面ですね」「Taunt(トーント)って発音するとき毎回舌を噛みそうになるんですけど」などと人気の実況者らしいユーモアあふれるトークを繰り出し、場を盛り上げていったのだった。(eyesさんの話が載っているLoLのイベント記事はこちら


写真:実況のeyesさん(左)と解説のSasaさん(右)

■nemukeの予選突破なるか?
 対戦グループが決まったあとはいよいよ試合開始である。私はガチなHearthstoneプレイヤーというわけではないが、大会に参加する以上、あっさり負けたくないものだ。私は過去にStarcraft2の大会に参加して予選リーグで全敗したことがあった。あとでその感想文を書いたときはとてもみじめな思いを味わったものだ。
 ともあれ、大会には前述のyottiy4さんなどのトッププレイヤーが集中しているグループもある。そういうところと比べると、自分のグループのほうが私はまだ勝ち目がありそうだった。

 今回、私はShamanのデッキを用意して大会に臨んだ。これは以前HearthPwnで紹介されていたMidrange Shamanを参考にしたものである。といってもLegendaryやEpicのカードを持っていないから、エンドカードのDoom HammerとAl'Akir the WindlordをBloodlustとSun Walkerで代用している。また、前日にはアメリカのプロチーム、Dont Kick My Robot (DKMR)に所属するdtwoさんに指導してもらって色々なデッキとの戦い方を学べたほか、彼からは同じDKMRチームのVarranisというプレイヤーが書いたマリガンガイドも紹介してもらい、効果的なマリガンの手法を学ぶことができた。

 準備は万端のはず…。そう自分に言い聞かせながら私が最初に対戦したのはカジュアルなシャツとジャケットに身を包んだvoidさんだった。voidさんをメインメニューからフレンド登録してゲームに招待し、次の画面で用意していたShamanのデッキを選んで「Choose」ボタンを押す。すると画面に「For Doomhammer!」と叫ぶ2人のShamanが現れた。最初の試合はShaman対決だ。


写真:対戦相手のvoidさん

 これはミラーマッチ全般で共通することかもしれないが、Shaman対決ではテンポが重要だ。 ShamanはHero Powerでさまざまな効果を持つTotemを場に出せるのが特徴のHeroである。一度場を抑えると、相手のTotemをMinionで一方的に破壊しながらこちらの場にTotemを並べていけるのだ。Shamanには場の全MinonのAttackを+3点するBloodlustといった強化カードもあるから、自分の場にTotemを含む大量のMinionが並ぶとそのままゲームエンドまで持っていける。今回のゲームではマナコストが高い初期手札をマリガンしたところ、1マナのArgent Squireと2マナのFlametongue Totemを手札に加えられた。Argent SquireのステータスはDivine Shiled 1/1でぱっとしないものの、付近のMinionのAttackを2点増やすFlametongue Totemと組み合わせれば3点のダメージになるので、序盤から相手にプレッシャーを与えていくことができる。


写真:Argent SquireとFlametongue Totemを展開して序盤からリードすることに成功

 このゲームでもArgent SquireとFlametongue Totemの組み合わせが大きく機能し、Minionを大量に展開してからのBloodlustでゲームエンドまで持っていくことができた。まずは1勝だ。(nemuke 1-0)

 次の対戦相手はHIRAMAXさんである。私が話しかけると笑顔で応えてくれた彼ではあるが、試合前に災難に見舞われたという。「実はアカウントがロックされてしまって、秘密の質問の答えを覚えていなかったので作り直す羽目になってしまったんです。作り直したばかりのアカウントにはカードがないので、この場でカードパックを購入してデッキを作りましたよ(笑)」


写真:対戦相手のHIRAMAXさん

 しかし相手の状況がどうであろうと大会は大会だから、同情してはいられない。私は先ほどと同じShamanデッキを選んで対戦に臨む。HIRAMAXさんが選んだWarlockで、2点のダメージを受ける代わりにカードを1枚ドローするHero PowerのLife Tapがとても強力なHeroだ。ControlデッキではTwilight Drakeなど手札が増えることで強化されるMinionとの組み合わせで、またAggroデッキでは序盤にMinionを展開した後の手札の補充でその力を発揮する。

 Shamanは序盤の展開が遅いHeroなので、対Warlockで怖いのはAggroデッキである。マナコストが重い初期手札をマリガンした結果、全体ダメージSpellのLightning Stormが2枚あるのが気になるものの、先ほどのゲームでも活躍したArgentt SquireとTaunt 2/3のWolfを2体出すSpell、Feral Spiritを手札に加えることができた。後攻なので、Coinを使えば2ターン目に3マナのFeral Spiritを出せるから悪くないはずだ。


写真:Feral Spirit、Argent Squire、2枚のLightning Storm、Coin

 HIRAMAXさんは先行1ターン目からVoid Walkerを出してきた。1マナ Taunt 1/3とコストパフォーマンスは悪くないが、いかんせん1マナなのでステータスが低く、Aggroデッキで場を固める以外には使いにくい。これで相手がAggroデッキなのはほぼ確定だ。最初の計画通り順当にマナコストを使っていけばいいだろう…。ところが後攻1ターン目のドローが入ると、ほかのMinionが場に出る度にランダムの敵にダメージを与えるMinion、Knife Jugglerが私の手札にやってきた。2マナなのでCoinを使えばすぐに出せるし、ステータスも3/2だからVoid Walkerに攻撃されてもやられない。Argent SquireもKnife Jugglerのあとに出したほうが1点ダメージを飛ばせて効果的なはずだ…。そう思った私はKnife Jugglerを場に出した。

 ところが、である。HIRAMAXさんも同じくKnife Jugglerを場に出してきた上、なんと0マナの4点ダメージSpell、Soulfireで私のKnife Jugglerを粉砕してきたのだ! Soulfireは0マナ4点という破格のSpellだが、デメリットとしてランダムでカードを1枚捨てなければならない。これで先行2ターン目にもかかわらず、HIRAMAXさんに残る手札はたったの1枚になった。なんてもったいないことを! とShamanの私は思ってしまうのだが、Warlockには前述のLife Tapのおかげで手札を湯水のように使えてしまうのだ!


写真:相手の場にもKnife Jugglerが出てきた上にこちらのKnife JugglerをSoulfireで除去されてしまう

 2ターン目を迎えると先ほどのCoin投入が完全に裏目に出てしまったことに気付いた。Argent Squireを出しても2マナを使い切れず、出したところでKnife Jugglerの効果とVoid Walkerの攻撃で除去されてしまうだろう。動揺した私はArgent Squireを場に出すと共に、新しく手札にきたEarth ShockをKnife Jugglerに使ってしまう。Earth Shockの持つSilenceによってKnife Jugglerの効果を無効にできるものの、1点しかダメージが入らないのでKnife Jugglerを倒すには至らない。何よりもAggro Warlockkには倒されても復活するHarvest GolemやDivine Shiled付きのScarlet Crusiderなど、Silenceで無効化したいMinionはほかにもいるので、ここで使ってしまうのは浅はかであった。前のターンにコインを使わなければFeral Spiritで守りを固めるか、Lightning Stormで相手のKnife Jugglerを除去できたのに…。思うようにいかない展開に私もつい後悔してしまう。

 3ターン目にはFeral Spiritで守りを固めていくが、ここは2枚あるLightning Stormの1枚を使って一度場をリセットしたほうがよかったかもしれない。Lightning StormはShamanにとって切り札ともいえるSpellだが、2マナのOverloadで次のターンに動けなくなるため、Overloadが大きな足かせにならないうちに使ったほうがいい場合もある。次のターンでHIRAMAXさんはHarvest Golemを出してさらに攻勢を強めてきた。ここでEarth Shockが残っていれば! と思わずにはいられない。たまらずLightning Stormで場をリセットしたものの、小さくなったHarvest Golemは場に残ったままである。続くターンにはHIRAMAXさんの場に5マナ Charge 5/7のDoom Guardが登場し、その攻撃でHealthを残り10点まで削られてしまう。10点のHealthなどAggro WarlockならSoulfireやCharge Minionで簡単に削り取れるから、その時点で手札か場でリードしていない限りは絶望的だ。何ターンか粘ったものの、やはり投了するより他に方法はなかった。(nemuke 1-1)


写真:Doom GuardでHealthを10点まで削られる。この時点で手札か場の優位を取っていないと絶望的だ

 最初にコインを使わないほうがよかったのか? それともEarthshockやLightstormのタイミングを間違えたのか? 具体的な敗因はわからなかったが、対Aggro Warlockの経験不足が表れた試合となった。

 次の組み合わせで私は記録係を担当してほかの試合を見ていたのだが、対戦者の1人に見覚えがあることに気付く。前回のイベントでAlkharimさんと一緒に同じチームでプレイしたdosutoさんである。彼もShamanを使っていたが、私と同じようにWarlock相手に苦戦している様子だ。彼とは次の試合で対戦することになる。


写真:対戦相手のdosutoさん

 Shamanミラーとなったdosutoさんとの試合は対voidさんとの試合同様、序盤からMinionを展開することに成功した。途中、相手のLightning StormでこちらのMinionの大半が焼かれてしまったものの、手札にはMinionがあり、問題なく場の優位を取り戻すことができた。


写真:2体のFire Elementalで場を制圧

 相手には高マナコストのカードも多いようだが、ShamanにはどんなMinionもTaunt 0/1のカエルに変えてしまうSpell、Hexがあるから怖くない。終始場の優位を保ち、最後はFire ElementalとTotemにBloodlustを使う形で12点のダメージを与えて勝利することができた。(nemuke 2-1)

 最後の対戦相手は中国人のLittleorcさんだった。日本在住暦8年の彼が話す日本語はとても流暢である。「Hearthstoneは会社の人に薦められたのがきっかけでした。ゲーム会社なので、みんな休憩時間にゲームをやるんですが、そのとき社内でHearthstoneがものすごく流行ってしまったんです。以前はLoLやDiabloをやっていたんですが、それ以来ずっとHearthstoneをプレイしていますね」こう淡々と語るLittleorcさんだが、Hearthstoneのデッキ情報などはいつもチェックしているようだ。試合の合間に横で彼の試合を見ていたところ、Reynaldという海外のトッププレイヤーが考案したZoo Warlockの使い手だということがわかった。


写真:対戦相手のLittleorcさん

 Zoo Warlockは「Harvest Golemなどのコストパフォーマンスの高いMinionを強化して殴る」ことをコンセプトにしたAggroデッキで、コンセプトの単純さとその強さから現在(4/9)のLadderで大流行している。それを考えて私もデッキを調整して序盤の小さなMinionに強いKnife Jugglerの数を増やしたり、4マナのTaunt Minion、Sen'jin Shieldmastaを入れたりといった対策をしたのだが、試合ではArgent Squireなどの序盤のカードを引けず、LittleorcさんにMinionの展開を許してしまった。


写真:序盤から大量のMinionを展開されてしまう

 たまらず私はLightning Stormを使用。場を立て直すことに成功した…ように見えたが、次のターン、Littleorcさんは豊富な手札から次々にMinionを繰り出し、あっという間に元の戦況に戻されてしまった。ターンが進んで高コストのカードが使えるようになっても相手のMinion軍団を除去するだけで精一杯だ。一方でLittleorcさんはLife Tapで減った手札を補充し、こちらを上回るペースでMinionを展開していく。最後はとうとう手札がなくなって、私のShamanはWarlockのMinion軍団に飲み込まれていったのだった。(nemuke 2-2)


写真:10ターンを超えてからの戦況。Minionの数こそ同数であるが、そのステータスには雲泥の差がある

 なんという強さ…。何枚か対策のカードを入れてみたが、焼け石に水だったようだ。これで私の予選突破の目は無くなり、最後に3-1で並んだLittleorcさんとvoidさんが決勝トーナメント進出の座をかけて争うことになった。

 voidさんはこのときHunterのデッキを使っていて、また予選グループでvoidさんに負けていたLittleorcさんもHunterのデッキに変更していたから、この試合はHunter対決になった。序盤からvoidさんは味方のBeastが倒されるたびに成長するMinion、Scavenging Hyenaを出し、ほかのBeastを次々に相手のMinionにぶつけることでScavenging Hyenaを成長させていく。


写真:成長するScavenging Hyena

このときLittleorcさんには処理できるカードがなく、大ピンチを迎えたように思われた。ところがvoidさんが大成長したScavenging Hyenaを使って攻撃しようとした瞬間、LittleorcさんのSecretが光る。なんとその正体はHeroに攻撃してきた相手の対象をランダムに変更するSecret、Misdirectionだった! これによってvoidさんは逆に自身のScavenging Hyenaの攻撃で10点もの大ダメージを受けてしまう。Littleorcさんはそのままvoidさんの残り7点のHealthを削りきり、決勝トーナメント進出を決めた。

■残る時間は観戦へ!
 さて、負けてしまったあとも残って観戦やプレイヤーと戦術の話ができるのもオフライン大会の面白さである。参加3回目ともなると知っている顔が増えるもので、その中には第1回のチーム戦イベントで同じチームになったN40MATさんがいた。彼も大会に参加していたが、予選突破はならなかったようだ。今回の感想を聞いてみると「今日使ったのはオリジナルのControl Mageです。3ターン目でSecretを使って、4ターン目にEthereal Arcanistを出していくんですが、このEthereal Arcanistが放置するとどんどん強化されていくので、相手にとって大きなプレッシャーになります。プレイングは難しいけど考えることがたくさんあっておもしろいですよ」と自身のデッキを紹介してくれた。


写真:N40MATさん作成のMageデッキ。Secretが大量に搭載されている

 予選の試合がすべて終わると、予選を突破した4人がステージに上げられた。決勝トーナメントで優勝を争うのはbarusaさん、yusaさん、yottiy4さん、Littleorcさんだ。決勝トーナメントはBO3になっていて、BO3の中のゲームで負けたほうはデッキを変えて次のゲームをプレイできる。決勝の実況はSasaさんが、解説はeyesさんと席を替わる形でHSトッププレイヤーのbreekさんが担当することとなった。


写真:決勝戦の4人。左からbarusaさん、yusaさん、yottiy4さん、Littleorcさん


写真:解説のbreekさん(左)と実況のSasaさん(右)

■準決勝 Littleorc vs yottiy4
 1戦目でLittleorcさんは予選でも猛威を振るったZoo Warlockを選択し、対するyottiy4さんはControl Warriorで迎え撃つ。Warriorには攻撃を受けるたびにArmor値を増やす、Armor SmithといったMinionがいて守りを固めやすいため、Zoo Warlockのような攻撃的なデッキとの相性も悪くないはずだ。しかしこのゲームではWarriorのyottiy4さんが思ったように守りを固められず、序盤からLittleorcさんのMinion軍団に押さえ込まれる展開になってしまった。「(全Minionを破壊するWarriorの専用カード)brawlがあれば楽しくなる場面なんですが…」と解説のbreekさんがコメントするものの、そのBrawlもなかなかやってこない。


写真:yottiy4さん(画面下)は序盤にMinionを展開できず、Littleorcさん(画面上)に場を押さえられてしまう。こうなると全体除去がない限り、戦況を覆すのは困難だ

 yottiy4さんの残りHealthはArmor値も含めて15点。この局面でyottiy4さんはTauntのついたHarvest GolemをFaceless Manipulatorでコピーし、少しでも自身の受けるダメージを減らそうとするが、次のターン、LittleorcさんがドローしたMortal CoilがHarvest Golemに炸裂。Minionの総攻撃を受け、yottiy4さんのWarriorは砕け散ったのだった。(Littleorc vs yottiy4 1-0)


写真:LittleorcさんのMortal CoilがHarvest Golemに炸裂

 決勝トーナメントのBest of 3の形式では負けた側はデッキを変えて次のゲームに臨むことができる。2戦目ではLittleorcさんのZoo Warlockに対抗するため、yottiy4さんがHunterを選択。Hunterには相手のMinonが攻撃してきたときに全体に2点のダメージを与えるSecretのExplosive Trapや、相手のMinionの数だけ1/1のCharge Houndを場に出せるSpellのUnleash the Houndsがある。つまり、相手のMinion展開をカウンターすることに長けたHeroなのだ。したがって大量にMinionを展開するZoo Warlockにも相性が良く、今回のゲームもHunterを操るyottiy4さんがSecretを並べてLittleorcさんの攻撃を牽制し、場の優位を確立。先のゲームで辛酸を嘗めさせられたZoo Warlockを難なく撃破した。(Littleorc vs yottiy4 1-1)


写真:Secretで守りを固めるyottiy4さん(画面下)

 続く第3ゲームでは、なんとLittleorcさんが逆にHunterを選択してyottiy4さんのHunterと相まみえる形となった。
試合はBeastが場に出る度にカードをドローするMinion、Starving Buzzardと前述のUnleash the Houndsの組み合わせでLittleorcさんが大量のドローに成功し、場・手札共にyottiy4さんを圧倒する展開を見せる。yottiy4さんもStarving Buzzardと各種Beastを展開して防衛するが、肝心のUnleash the Houndsを引き当てることができず、次第に手札もなくなっていく。


写真:2枚のUnleash the Houndsで一気に手札と場の優位を確立するLittleorcさん(画面上)

 さらにはLittleorcさんが相手のSecretを破壊するSpell、Flareを発動。yottiy4さんの守りの要を消し去ってMinionによる総攻撃を浴びせ、yottiy4さんを残りHealth4点まで追い詰める。これで終わったか……。誰もがそう思う局面だった。ところが、yottiy4さんの手札にはドロー補助のTracklingで引き当てた1マナ1/1のCharge Beast、Stonetusk Boarがあった。たかが1/1のMinionとはいえ、Beastが場に出てることで強化されるダメージSpell、Kill Commandの条件は満たせる。Kill Commandで5点、武器のEaglehorn Bowで3点、MinionのAttackを強化するAbusive Sergeantと組み合わせたBoarの攻撃で3点、最後にHunterのHero Ability、Steady Shotで2点。1ターンで合計13点ダメージを叩き出し、逆転勝利に成功! 解説のbreekさんですら予想外だったこの展開には会場全体も大いに沸いたのであった。(Littleorc vs yottiy4 1-2)


写真:yottiy4さん(画面下)による逆転勝利の瞬間

 終了後、ステージで「完全に負けたと思っていました」とyottiy4さん自身も興奮しながらコメントし、Littleorcさんと握手した。負けたLittleorcさんに私が感想を聞いてみると、「手札が多いからもう勝ったと思っていたんですが…油断してしまった」と悔しそうに試合を振り返った。なお、Littleorcさんとyottiy4さんの試合の配信中はbarusaさんとyusaさんの試合も同時進行しており、これはbarusaさんが2-1で勝利。決勝戦はbarusaさんとyottiy4さんという友人同士の対決となった。


写真:会場で試合を観戦する参加者達

■決勝戦 barusa vs yottiy4
 第1試合、barusaさんは手札の数が多ければ多いほど強化されるMinionのTwilight Drakeなどを中心に構成されたデッキ、Handlocを選択。対するyottiy4さんは先ほど逆転勝利を演じてみせたAggro Hunterを選択。Aggro Hunterは「毎ターン、マナコストと同じ分だけ相手にダメージを与えて7ターンで終わらせる」ことをコンセプトに作られたデッキ。毎ターン増えていくマナを合計すると7ターンで28点になるから、何か追加で2点のダメージを与えれば30点のHealthを削りきれるというわけだ。
 試合はyottiy4さんがLeper Gnomeを1ターン目から展開し、着実にダメージを削っていく。Leper Gnomeは倒されたときに2点のダメージを相手に与えるから、Healthを削ることに特化したデッキとはとても相性のいいMinionだ。


写真:序盤からLeper Gnomeを展開して着実に相手のHealthを削っていくyottiy4さん(画面下)

 barusaさんは自身では攻撃できないAncient Watcherの効果をSilenceで無効化して強力なアタッカーにしたり、Twilight DrakeにTauntを与えて壁にしたりするが、yottiy4さんの猛攻を止めるには至らない。WarlockのHealthが残りわずかとなったところでyottiy4さんは2枚のKill Commandを使用。Taunt持ちのTwilight Drakeもおかまいなしに10点のダメージを叩き出して勝利した。(barusa vs yottiy4 1-0)


写真:輝くTwilight Drakeの後ろで砕け散るWarlock

 ここにきてbarusaさんは中盤に強いMidrange Hunterを選択。yottiy4さんは先ほどと同じように序盤からマナコストの低いMinionを展開してダメージを稼いでいくが、barusaさんが4ターン目にSen'jin Shieldmastaを場に出すと流れが変わり始める。Sen'jinは4マナでありながらHealthが5もあるTaunt持ちのMinionだ。この1枚の盾を処理するためにAggro Hunterは何体ものMinionを犠牲にしなければならない。その結果yottiy4さんは手札がなくなって、思ったように攻めを続けられなくなってしまった。


写真:Healthの高いSen'jin ShieldmastaはAggroデッキに対する強力なカウンターとなる

 こうして序盤を凌いだbarusaさんがより強力なMinionを展開できるようになり、yottiy4さんから1本取り返すことに成功したのだった。(barusa vs yottiy4 1-1)

 最後の試合でyottiy4さんはControl Warriorを選択。中盤戦を意識したMidrange Hunterに対して、後半に強いデッキで対抗しようというわけだ。HunterはランダムでBeastを場に出すSpell、Animal Companionなどの強力なカードが中盤に揃っている。Warriorがどのようにして中盤を凌いで後半まで持っていくかがこのゲームの鍵となる。


写真:Animal Companionで4/4 TauntのBeastを出して場を固めていくbarusaさん(画面上)

 このゲームでもbarusaさんはAnimal Companionを使い、4/4のTaunt Beastを場に出していったが、対するyottiy4さんもMinionや除去で応じ、相手に場を固める隙を与えない。WarriorのYottiy4さんには強力な8、9マナのLegendary Minionが眠っているため、barusaさんとしては厄介なMinon達が登場する前に勝負を決したいところだ。ターンが進む中、barusaさんの場に登場したのはSavannah Highmane。6マナ6/5の巨体でありながら倒されたときに2/2のBeastを2体場に出せる、とてもコストパフォーマンスに優れたMinionだ。ここでyottiy4さんがどう対応するかが勝負の分かれ目となった。手札には7マナで7点ダメージを与える武器のGorehowlや、ターンの終わりにほかのHeroとMinionに2点のダメージを与えるMinionのBaron Geddonがいる。

 GorehowlでSavannah Highmaneを潰し、次のターンでBaron Geddonを出せば、合計で10点近いダメージを受けてしまうものの、2体のBeastを除去して場を抑えることができる。しかしyottiy4さんが行ったのは前のターンにHunterのSecret、Freezing Trapで手札に戻されたAcolyte of Painを出すという選択だった。Acolyte of Painには攻撃を受けることでカードをドローする効果があるため、Brawlなどの全体除去のドローを期待した行動だったのかもしれない。だがここで1ターン遅れたことで直接攻撃され、残りHealthに余裕がなくなってしまった。


写真:決勝戦の様子はサブモニターにも放映されていた

 次のターン、たまらずyottiy4さんはBaron Geddonを場に出すが、その全体2点ダメージも相手のMinionが少ない状態では効果的とはいいがたい。続くターンでbarusaさんはStarving Buzzardを場に出してからSavannah HighmaneとBaron Geddonを交換していく。これで2体のBeastを出してStarving Buzzardの効果でカードを2枚ドローすることに成功したわけだ。さらには残るマナを使って2枚目のSavannah Highmaneを登場させていく。こうなってしまうとキーカードのBaron Geddonを失ったyottiy4さんには為す術がない。barusaさんはそのままBeastの猛攻を続けて、日本初のHearthstoneオフライントーナメントを制したのだった。(barusa vs yottiy4 2-1)


写真:2枚目のSavannah Highmaneと場に残ったBeast達


写真:優勝してインタビューに答えるbarusaさん(中央)

■日本初のHearthstoneオフライン大会はbarusaさんが優勝!
 勝敗が決まった後のステージでは、司会のSasaさんがbarusaさんに「賞品をご用意できなくて残念でしたが、ぜひ初代王者のタイトルを賞品として持ち帰ってください」という言葉を贈り、一方、惜しくも敗れたyottiy4さんは「2戦目でHunterミラーになったときは勝ったと思ったんですが…Sen'jinがとても硬かったです」という感想を残した。ステージを降りた直後のbarusaさんにインタビューをしたところ、国際大会に一緒に行った仲だということもあって以下のようにざっくばらんに答えてくれた。

……優勝おめでとうございます。Midrange Hunterを使っていたのが印象的でした。
「ありがとう。ただ、実はこのMidrange Hunterは10戦も回していないデッキだったんだよね。今までは僕の中でControl Warriorに対して明確に強いデッキが存在しなかったので、(今日の大会のために)徹夜でデッキを調整してたんだけど、そしたら奇跡のようなことが起きた。朝の4時頃にEUのランク10位ぐらいのプレイヤーの配信を見たんだけど、そこで彼はMidrange Hunterを使ってControl Warriorをボコボコにしてたんだよね。それで僕も『これは新しいメタだ!』と思って使ったんだ。(あまり練習していないデッキだったから)優勝できたのは本当によかった」

……yottiy4さんとは普段から一緒にプレイされていると思いますが、決勝戦で勝つ自信はありましたか?
「勝算は五分五分ぐらいで、明確に勝てる自信がある相手じゃなかった。相手のほうがやりこんでいると思うし、カードもたくさん持ってる。できれば絶対自分のほうが強い、という自信を持ってやりたかったんだけど…。ただ、今回は相手が緊張していたのか相手にプレイミスがあった気がする。3試合目でBaron GeddonをSavannah Highmaneと交換して、2体のBeastを出せた場面があったじゃない。それでStarving Buzzardの効果で2枚もカードをドローできたんだよね。(相手のプレイミスで)ああいった動きができたのが今回の勝因だと思う」


写真:参加者達による集合写真

 イベントの締めくくりは最後まで残っていた参加者を集めての記念撮影だった。終了は予定の22時30分を30分もオーバーした23時だったが、今回、私はリーグ戦のあとに決勝戦をじっくりと観戦することができ、とても充実した時間を過ごせたと思う。e-SQUにとって3回目のHearthstoneイベント(今回も賞品なしのカジュアルな大会)だったが、e-SQUの運営も大分軌道に乗ってきたのではないだろうか。次回もHearthstoneのイベントが開催されればぜひ参加してレポートをお届けするつもりである。

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