2014年5月2日金曜日

eSportsニュース&バラエティ番組「eスポーツ MaX」第4回(4月27日放送)感想

eSportsニュース&バラエティ番組「eスポーツ MaX」第4回(4月27日放送)の感想です。

 今回は以下の3部構成でした。
1.eスポーツニュース
2.うしろシティさんによる「RTS、Starcraft2のDetonation所属プロゲーマーVaisravana選手 インタビュー」
3.桜めいさんの「eアスリートへの道」

 同様の構成が3回続いていますが、以降もこの3部構成で番組を進めていく方針なのでしょうか。


対象を絞ることで、複雑なゲームもわかりやすくなる


eスポーツニュースは4月9日にe-sports SQUARE AKIHABARA(e-SQU)で開かれたHearthstoneのオフライントーナメントと、League of Legendsの国内大会、LJ LEAGUE Spring Seasonの紹介でした。

 e-SQUのHearthstoneのオフライントーナメントでは会場写真、優勝したbarusa選手のインタビューがあったほか、「9種のHeroを選び、30枚のカードから成るデッキを使って相手のHealthを0にするゲーム」としてHearthstoneが紹介されました。説明は簡潔ですが、動画を通してゲームの雰囲気が伝わってくるので、つかみとしては十分ではないでしょうか。これを機にHearthstoneに興味を持つ人が増えればと思います。ゲームを知ったばかりの人にとっては「ほかにはどんな活動をしているのか?」という点が気になりますから、ニュースの最後に「今後のHearthstoneのイベント予定」などがあると、より関心を惹きやすいかもしれません。

 League of Legendsの国内大会、LJ LEAGUE Spring Seasonの紹介では前回同様に、「画面上に特定のキャラクターを示すテロップやマーカーがなくてゲーム内の出来事がわかりにくい」「ナレーターが急に略称を使うので何を言っているのかわかりにくい」という問題が残っていました。ただ、今回異なっていたのは「実況がゲーム場面を効果的に伝えていた」ことでした。rkp選手が連続してキルを取るシーンでは、画面上にrkp選手を示すテロップやマーカーはありませんでしたが、実況が名前を連呼し、かつ画面の中心にrkp選手らしきキャラクターがずっと映っていたので、「あのキャラクターがrkp選手であり、活躍している」ことははっきりと伝わってきました。なぜわかりやすかったのか、要点は「(画面で映すキャラクターや、実況で喋る部分など)説明する対象を1つに絞っていた」ことだと思います。League of Legendsのようにリアルタイムで進行するゲームはいろいろなことが同時に発生するので、詳しくない人には「あれがあれで…」と理解しようとするだけで精一杯になりがちです。しかし、「説明する対象を絞ってその1点しか見せない」というふうにすれば、少なくとも何が起こっているのかはわかるようになるのです。私にとってこの点は新鮮でした。

プレイヤーの言葉で伝わりやすくなるゲーム内容


 続いてStarcraft2の国内プロチーム、Detonationに所属するVaisravana選手のインタビューです。今までに紹介された鉄拳のnobiさんとAlliance of Valiant ArmsのDeToNatorはともに世界トップクラスのプレイヤー・チームでしたが、今回は世界に挑戦している最中の選手ということで、「Vaisravana選手自身の紹介」というよりも、「Vaisravana選手を通してStarcraft2のシーンを紹介する」ことに重きが置かれていたように思います。プレイヤーの言葉というのは生き生きとしていて心に残るものですから、これもゲームを伝える1つの方法ですね。Vaisravana選手自身も、「親に頼りきりである」といった自身の生活環境を率直に披露していましたし、また彼の言葉には「負けると魂が抜ける」といったおもしろい表現が多かったので、視聴者に好感を持って受け入れられたのではないでしょうか。

 私はStarcraft2を長くやっていて、また、Vaisravana選手のことも知っていましたから、興味深く見ることができました。Starcraft2の説明では「宇宙の3つの種族間での戦争をテーマにしたゲーム」と先に概要を伝え、その後でVaisravana選手が「最初に国を作っていくんですよ」「あっちいけ、こっちいけと部隊に指示を出す」というふうに具体的に説明していましたので、ゲームを知らない方にもイメージが伝わったのではないでしょうか。ただしゲーム内の1分間のアクション数を表す「APM」という言葉だけは略称ですので、「Action Per Minutes = APM。1分間のゲーム内アクション数」というふうにテロップを表示しないとわかりにくいと思いました。

 ところで、APMというのはRTSでプレイヤーの強さを説明するのに便利な表現です。ゲームの戦術でプレイヤーの強さを表現しようとすると、「相手のタイミングプッシュを誘ってそれをカウンターするのが上手い」「Marineというユニットを操作するのが上手い」というふうに具体的に説明しなければいけませんが、専門用語が多いので「タイミングプッシュやMarineというのは何のことか?」という用語説明をまず行わなければいけません。その上で、「ほかのプレイヤーと比べてどう上手いのか?」と比較して初めてそのプレイヤーの強さが見えるようになります。一方、APMを持ち出せば「弱い人は20~40ぐらい。強い人は100~200。トッププロは250」というふうに強さを数値化できますので、プレイヤーの差が一目瞭然です。だからでしょう、番組でもAPMを強調してプレイヤーの強さを説明していました。

 しかし、実際のStarcraft2の勝敗は「いかにミスなく操作できるか」「どう相手を偵察し、相手の動きに対応するか」という操作の精度や判断力で決まることが大半です。APMの数値だけならキーボードを連打していれば伸びるものですし、また、Poltという実力はトップクラスなのにAPMが低いことで有名な韓国人選手もいます。なので、ゲームを知らない方向けの番組でAPMを強調してしまうと、Starcraft2に対して間違った認識を植えつけることにならないか、少し心配です。

 最後に、私が「もっと知りたい」と思ったのはVaisravana選手が韓国の大会に参加したときの話です。インタビューでは「Vaisravana選手が韓国で多くのことを学んだ」ことが強調されていたのですが、「何月何日に・どんな場所で・どんなプレイヤーと対戦して・どんな結果だったのか」という情報が少なかったため、急に話題が転換したような印象を受けました。よって、「Vaisravana選手の学び」もよくわからなかったのです。やはりこうした背景情報は視聴者を大いに助けるので、省いてはいけないのではないでしょうか。

実況者が主体となる実況プレイと、編集者が主体となる番組の違い


 桜めいさんの「eアスリートへの道」は、「鉄拳のアーケードバトルをプレイする中で勝てなくなったので腹が立ち、みたらし団子を食べて休憩し、最後はふて寝する」という内容でした。やはり前回と同じく「桜めいさんのゲーム生活を伝える」コーナーであり、ゲームの話がほとんどありません。途中、ネットで攻略法をリサーチしたり、連戦しているうちに勝てるようになってきたり、ということもありましたが、そこでも「こういうふうに戦えば有利に戦える」といったゲームの説明はありません。こういうときこそゲームのおもしろさ、eスポーツという考え方を伝える絶好の機会だと思うのですが…。

 なお、「桜めいさんがゲームをプレイしている反応を映す」という意味でこのコーナーは「ニコニコ動画などのゲームの実況プレイ」に近い印象を受けますが、両者の違いは「(実況者と視聴者以外の)第三者の意図が見えるかどうか」だと思います。実況プレイでは実況者1人の視点で進行します。1人の視点のプレイを見るからこそ、視聴者はそのプレイに自分の姿を重ね合わせて「自分だったらどうするだろう」というふうに考え、また、「自分もこういう反応をしていたな」と実況者に感情移入できるのです。

 しかし、番組のように第三者の編集が加わってしまうとどうでしょうか。プレイヤーは「番組用に借り出された存在」に見え、視聴者は感情移入ができなくなるでしょう。「eアスリートへの道」が今後どうなるのか、まだわかりませんが、私としては第三者の意図を感じさせないようなコーナーであってほしいと思います。

次回は「ニコニコ超会議3」のAlliance of Valiant Armsとe-SQUのブースが特集される予定


 以上、率直に自分が思ったことを書いてきましたが、eスポーツ MaXで「eスポーツをどう伝えるか」という点に注目してみると、気付かされることが多くありました。
 次回5月4日21時放送のeスポーツ MaXでは、4月26~27日に開かれた「ニコニコ超会議3」のAlliance of Valiant Armsとe-SQUのブースが特集されます*。私も「ニコニコ超会議3」に出かけたので、その点からも楽しみにしています。
*情報元(4gamer):「AVA」“AVAIFM2014”のレポートが「eスポーツMaX」で放映決定
*情報元(Twitter):番組スタッフの東島真一郎さんの投稿

0 件のコメント :

コメントを投稿