2014年5月7日水曜日

Aggro Hunterデッキ解説: 「相手はこちらのMinionを殴るしかないからこちらのHealthは減らず、こちらのMinionで相手を殴り続ける、という展開になります」NAサーバー Season1 Final Rank Legend95位、Aggro Hunter使い、TerawakuJP選手インタビュー

 NAサーバーLegendaryランキングで12位(今年1月頃)という高いランクを記録しているのがLegendaryのAggro Hunterプレイヤー、TerawakuJP選手です。
先日発表されたNA Hearthstone Ranked Play Season 1 Final Rankingsでも95位に名前が挙がっています。

TerawakuJP選手は現在21歳の大学生。私がTerawakuJP選手に初めて会ったのはe-sports SQUARE AKIHABARAで開かれた「Hearthstone GWトーナメント」でした。大会前の練習のとき、TerawakuJP選手はLadderを回していたのですが、その合間にTerawakuJP選手が話してくれたAggro Hunterデッキの考え方がとても興味深かったので、下記にインタビューとして掲載しました。



写真:大会に臨むTeruwakuJP選手

TerawakuJP選手が大会で使用したデッキリスト
Aggro Hunter
Control Shaman

はじめに
Legendaryプレイヤーの裏話
Aggro Hunterを始めたきっかけ

Aggro Hunterデッキ解説
デッキに入れるカードの基準
Aggro Hunterの動き方
マリガンの仕方
先手を取る重要性

対策と大会
ほかのAggroデッキとの違い
Aggro Hunterの対策について
大会における有効性

はじめに


Legendaryプレイヤーの裏話


……Hearthstoneを始めたきっかけは?
ぼくはLeague of Legendsもプレイするのですが、その友達が誘ってくれたのがきっかけです。カードゲームについては、中学生の頃にデュエルマスターズをやっていて、日本の全国大会に出場したことがあります。Hearthstoneは同じカードゲームということでデュエルマスターズと考え方が似ていたので、勝ち方も割とすぐにわかりましたね。

……普段はどのようにプレイされているのでしょうか?
普段は大学が終わった後に1~2時間ぐらいプレイしています。それで、1人で黙々とやってもなんだかつまらないのでニコニコ生放送で配信しているんです。これから夏休みになりますが、そのときも情熱が続いていればHearthstoneをたくさん回したいですね。

……TerawakuJPと名前に「JP」が付いていると、日本人だということがほかのプレイヤーにわかりやすいと思いますが、そのことで何か反応はありましたか?
そうですね。今月からランク16位に入った人が本戦に出場できる「Hearthstone World Championship」という世界大会が始まったでしょう。でもぼくは日本人だから、ランクが上がっても世界大会いけないのがわかるじゃないですか。そこで16位とか14位のプレイヤーがチャット飛ばしてきて「談合しようぜ」って言って来るんですね(笑)。「負けてくれよ」って(笑)。もちろん自分のランクが下がるからそんなことはしないですけどね(笑)。

……普段はどうやって練習していますか?
基本的にはLadderを回しているだけですね。Legendaryに到達すると有名なプロプレイヤーとも当たるようになりますから、相手が強いのでとても練習になります。

ただ、HunterってFaceroll*1と言われるくらい、何も考えずにMinionを出していれば勝てるクラスなんですよ(笑)。プレイングも練習も何もなくて、相手に合わせてマリガンして、相手に合わせてMinionを出して終わりです。

*1 Faceroll:World of Warcraft発端のネットゲーム用語。「キーボードを頭に押し付けて転がしていても勝てる」という意味で、スキル不要の強キャラを揶揄する表現。
参考動画


Aggro Hunterを始めたきっかけ


……どうして使用HeroにHunterを選んだのでしょうか?
カードが無いから…(笑)。あまり課金をしてないんです。本当は見栄張って「Hunterしかやらない」と言いたいんですけど(笑)、実際はカードが無いからほかのHeroができないんですよね。Ragnaros the FirelordThe Black Knightもなくて、そうなるともうControlデッキはできないじゃないですか。

……昔からネットにはいろいろなAggro Hunterが出ていますが、ご自身のAggro Hunterもそれを参考に作られたのでしょうか?
いえ、これは自分が考えて作ったデッキが始まりで、それが5ヶ月くらい長続きしているだけなんです。ところが(1月中旬に)「Kungen Hunter*2」が出てきたせいで、自分のデッキのほうが先のはずなのにニコニコ生放送のリスナーさんから「おまえパクリだろ」って言われてしまいました(笑)。Druid全盛期にFlareFlareみたいなカードを入れてる人はいなかったのに(笑)。

*2 今年1月中旬にKungenというプレイヤーがNAサーバーのLegendaryに到達したことで広まったAggro Hunterデッキ。
参考記事(Liquid Hearth):Kungen's Budget Hunter deck

たしかに似ているんですけど、「Kungen Hunter」に入っているBluegill WarriorWolfriderも自分のデッキには入ってないですし、Ironbeak OwlTrackingも入れていません。あきらかにパクリじゃないです(笑)。

Aggro Hunterのデッキ解説


デッキに入れるカードの基準


……デッキにはLeper Gnomeや2/1のStealthのWorgen Inflitratorなど、マナコストの低いカードがたくさん入っていますね。



写真:TerawakuJP選手のAggro Hunterデッキ「はんたーくん!」

自分のデッキはLeeroy Jenkinsを除く29枚が3マナ以下のカードで構成されていて、出したときに打点になるカードのみをデッキに入れています。デッキに入れるカードについて、自分は次のような基準を設けています。
・1マナに対して2点のダメージ
・2マナに対して2点のダメージ(複数)
・3マナに対して4点のダメージ
・(4マナに対して6点のダメージ)

代表例は1マナのWorgen Inflitratorや+2AttackのAbusive SergeantLeper Gnome、(3マナのPanther)ですね。こうしたカードは出した時点で2点(4点)のダメージを確保できます。2マナ2/1 ChargeのBluegill Warrior、または3マナ3/1 ChargeのWolfriderを入れている人もいますが、ぼくは上の基準から考えるとマナ効率が悪いと思っています。2マナを使うなら(Explosive Trapなど)複数に対して2ダメージが入るカードであってほしいです。

また、「確定でダメージが入るカード」というのも重要ですね。確定でダメージが入らないカードは無駄になる可能性があるということなので、そういうカードはデッキには入れません。たとえばKnife Jugglerは1ターン生き延びればすごいアドバンテージがありますが、相手が除去してきたら2マナがパーになってしまいます。つまり、運に左右されてしまうのです。それよりは確定で2点入るBluegill Warriorのほうがまだいいですね。

デッキ唯一のドローソースがUnleash the HoundsStarving Buzzardです。ちなみに、FlareHunter対策のほか、MageやPaladinのSecretを潰したり、あとはRogueのConcealにも使えます。

Aggro Hunterの動き方


……Aggro Hunterはどのようにゲームを展開していくのでしょうか。
基本的に「出して殴って、出して殴って」という感じで、理想的なゲーム展開は「4ターンが終わるときに敵のHealthが半分近くになっている」ことです。
・1ターン目に2ダメージ
・2ターン目に2ダメージ(4)
・3ターン目に4ダメージ(8)
・4ターン目に6ダメージ(12)

この時点でHealthの半分近い12点ダメージです。5ターン目から手札がなくなってきますが、相手の盤面のMinionも増えていますから、そこでUnleash the HoundsStarving Buzzardを出せれば手札を一気に補充できます。もちろん手札が足りなくて2マナが余ったらHero Powerを使ってダメージを与えていってもいいです。

……基本的に相手Heroに攻撃を加えていくんですね。
そうですね。普通のデッキでは「手札1枚に対して相手が何枚手札を使ったか」といったアドバンテージを考えますけど、自分のAggro Hunterは手札の効率や盤面を度外視していて、Leper GnomeWorgen Inflitratorといった使い捨てのMinionを出して相手のHealthに圧力をかけていくデッキなんです。

相手からしてみたら、そういったMinionは小さいですしすでにHealthを削られているので手を出したくないんですけど、そのMinionを放置すると次のターンもう1回殴られますよね。だから相手は嫌でもマナとカードを使ってこちらの使い捨てMinionを処理しないといけないんです。したがって、「相手はこちらのMinionを殴るしかないからこちらのHealthは減らず、こちらのMinionで相手を殴り続ける」という展開になります。



写真:会場で練習するTerawakuJP選手

マリガンの仕方


……初手のマリガンはどのように行うのでしょうか。
基本的に初手で優先して選ぶカードのトップは犬と鳥で、ほかは相手によって変わります。

対Hunter
HunterなどのAggroの可能性がある相手は早めにMinionを出していかないといけないので、Worgen Inflitratorなど1マナのMinionを確保します。最悪Abusive Sergeantでもいいでしょう。特にHunter対決では、先に1マナを出して先手を取ったほうがよく勝ちます。

対Druid(硬いMinionの多いHero)
硬いTauntsが多いDruidにはHunter's Markは必須ですね。DruidはInnervateを使って2、3ターン目に4/6のTauntのDruid of the Clawが出てきたりしますが、そのときにHunter's MarkがなければAggro Hunterはほぼ負けです。低マナコストのMinionばかりでは歯が立ちませんし、Jungle Pantherといった打点の高いMinionを使うにしても、突破できるのは3ターン目以降になってしまいます。

対Warlock
一番厄介なのが以下のようにZooとMurlocとGiantの3つの可能性があるWarlockです。
・Zooには1/3のTauntを潰すのにEaglehorn Bowがいりますが、GiantやMurlocにはいりません。
・Murlocには(小型のMinionが大量に展開されるので)Explosive Trapがほしいですが、Giantにはいりません。
・GiantにはHunter's Markがほしくなります(が、AggroとMurlocには使えません)。
したがって最初のマリガンが(どれか1枚だけを優先すると)運頼みになってしまうので、自分は(Unleash the HoundsStarving Buzzardの次点で)Hunter's MarkEaglehorn BowExplosive Trapの3枚を目標にします。全部持っていれば何が来ても大丈夫ですから。

先手を取る重要性


……先手を取ることが大事というふうに見えますが、Aggro Hunterは先攻と後攻はどちらのほうが強いのでしょうか?
先攻のほうが強いですね。敵より早くターンが来るのが大事なんですよ。たとえば後半にお互いのHealthが10点以下になるような状況がありますけど、そのときはControl対Aggroでも、Aggro対Aggroでも、先にターンが回ってきたほうが勝つでしょう。特にAggroデッキの場合はマナさえあれば10点ぐらいのダメージは簡単に飛ばせますから、後半になるにつれて先攻が有利になっていきますね。

……では、Aggro Hunterが後攻で有利になるパターンはないのでしょうか?
(後攻はコインで高マナカードを使って盤面を取りやすいのが強みなので)、MurlocやAggro Warriorなど、盤面を取ることが重要な別のAggroデッキでは有利になるかもしれませんが、Aggro Hunterの場合、敵にダメージを与えられない限りは盤面を取っても仕方がないんですよね。(後手を引いて)Healthの削り合いで負けたくないですし、Controlデッキ相手に対して2ターン目に3マナのJungle Pantherを出したところで、盤面を取れなくて次のターンに除去されるのは変わらないんです。そんな回りくどいことをするぐらいなら最初から先攻のほうがいい、ということになります。

対策と大会


ほかのAggroデッキとの違い


……Zoo Warlockなど、ほかにもAggroデッキはありますが、それらと比べてAggro Hunterはどう違うのでしょうか?
ほかのAggroデッキはカード同士のシナジーで火力を生んでいくものなんですよ。たとえばMurlocならMurlocを、Zoo WarlockならMinionを並べて、それらを強化することで初めて火力が出ます。逆に盤面を取れなかったらどうしようもないのが普通のAggroデッキなんです。たとえばMurlocなら、キーカードのMurlocが生き残っていないと、ただの小型Minionが並ぶだけですからね。

一方、Aggro Hunterはシナジーがなくても火力が出るのが特徴です。たとえばLeper Gnomeとシナジーになるカードは1枚もないでしょう。しかし、Leper Gnomeは出した時点で打点になります。そういったカードだけをデッキに入れて、カード単体で削っていくんです。(盤面やシナジーを考えず)打点が相手のHeroに飛んでいけばいいという考え方です。

……Zoo Warlockとは大分コンセプトが違うんですね。
Zooは盤面を取りますからね。実はZooは「Warlockのあるべき姿」と言えるデッキです。Warlockは(Life TapでHealthを消耗する)性質上、盤面を取られたら(Heroにダメージが飛んでくるので)負けるHeroなんです。Life Tapで手札を増やす目的も、相手Minionの除去ではなくて盤面を取り続けることにあります。

だからZooは3/1 ChargeのWolfriderなどは使わずに、Harvest Golemといった場持ちのいいMinionを出して盤面を固めていくわけです。ただ、Handlockだけは特殊な例ですね。最初に盤面を固めなくても、後から手札の量を生かして盤面を取ることができます。



写真:Aggro Hunterと対照的に盤面を取ることで火力を出すZoo Warlock

Aggro Hunterの対策


……では、Aggro Hunterの対策にはどんなものがあるのでしょうか?
基本的に、すべてのデッキには何かしらのコンセプト、すなわち、キーカードがありますから、仮に相手が主流のデッキじゃなかったとしても(キーカードがわかれば)対策ができます。たとえばZoo WarlockならYoung PriestessやShatteredといった強化形のカード、Controlデッキなら(後半に出てくるCairne BloodhoofRagnaros the Firelordなどの)大型Minionがキーカードですよね。そういったキーカードに対して、「出てきたターンに対応できるカード」がそのデッキの対策になるんです。

Aggro Hunterにも対策はいろいろあって、カードなら(小型Minionを止める)Tauntや全体除去、HeroならWarrior、Druidですね。大型Minionを出していくPriestなども実は厳しいです。たとえばControl Warriorには、場に出たときに1点ダメージを飛ばすCruel TaskmasterというMinionがいるでしょう。それでこちらの2/1Minionが1回も殴れずに終わったりすると、それだけでカードもマナも無駄にしたことになってしまうんです。

また、もしこちらのMinionが殴れたとしても、相手の盤面にArmorsmithが出てくれば、次のターン(ArmorsmithがMinionを攻撃したり、Whirlwindを使ったりしてMinionにダメージを与えて)、相手のArmorが増えてしまいます。つまり、自分の出した1マナMinionが除去されるだけでなく、相手のアドバンテージになってしまうんです。

……逆にAggro HunterでWarriorに勝つとすればどんなふうにプレイしますか?
初手で武器やJungle PantherKill Commandといった(一度に大きなダメージを与えられる)Spellを残しておいたり、Abusive Sergeantを焦らずに4ターン目や3ターン目にJungle Pantherに使ったりといった(Minionを無駄にしないような)配慮が必要ですね。それでも勝ち目は薄いですが…。



写真:League of Legendsのキャラクター帽を被るTerawakuJP選手

大会での有効性


……では、今回の大会については?
今大会はなんとか予選突破したいですけど、手持ちのデッキがAggro HunterとControl Shamanしかないのでは厳しいでしょうね。大会とLadderは(対戦相手のデッキを対策する要素があるので)、ぜんぜん違うんです。たとえば、Murlocを食べるHungry CrabというのはLadderでは絶対に見られないカードですが、大会で対戦相手がMurlocを使うことがわかっていれば出てくることがあります。そういうふうに、ぼくがAggro Hunterしか使わないことがばれていたら、先ほど述べたような対策を相手にさせてしまうんですよ。そういった対策デッキと当たったら絶対勝てないので、まあがんばろうという感じです。

……本番前のお忙しいときにすみません。どうもありがとうございました。

Aggro Hunterというと「考えなくても勝てる」デッキとして悪名が高いですが、その裏には多くの複雑にして繊細な考え方が含まれていることを今回のTerawakuJP選手のインタビューで知って、私は衝撃を受けました。
なお、今大会では偶然にも私はTerawakuJP選手と同じグループに入ったので、TerawakuJP選手との対戦ではここぞとばかりにAggro Hunterの対策デッキをつかったのですが、さすがにTerawakuJP選手がインタビューの相手に同じデッキを使うはずもなく、TerawakuJP選手が使うControl Shamanの前に私はあえなく撃沈してしまったという次第です。

今大会でTerawakuJP選手は惜しくもベスト8で敗れてしまったものの、今後もLadderを回し続け、さらに実力を上げていくに違いありません。また、TerawakuJP選手はブログやTwitterで発信しているほか、ときどきニコニコ生放送でも配信しているそうです。Legendaryプレイヤーのプレイぶりが気になるという方は下記のリンクをチェックしてみてはいかがでしょうか。

TerawakuJP選手のブログ:俺くんの日記
TerawakuJP選手のTwitter:@terrawkwk3
ニコニココミュニティ:てらわく配信

3 件のコメント :

  1. 俺たちのおれくんはやっぱりすごいんだよな。すごい卑屈だけど……

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  2. AVAの有名プレイヤーの釈迦に似てる……似てない? 

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