2014年6月25日水曜日

「ネットで発信を続けることでつながりができて良い影響が出る」第二回ゆるHearthstone会リミテッド対戦会優勝、投資家、ダルさんインタビュー

 6月14日に東京都・目黒区緑ヶ丘文化会館で開催された「第二回ゆるHearthstone会」の「リミテッド対戦会」優勝者のダルさんのインタビューです。



写真:優勝のダルさん

 27歳のダルさんは神奈川県在住で株の個人投資家をしています。Legendaryカード使用禁止というレギュレーションのリミテッド対戦会で、ダルさんはどのような考えでそのデッキを構築したのでしょうか。株の投資家の視点からもHearthstoneのおもしろさを語ってもらいました。

目次


環境を対策したControl Priest
Tauntが活躍したRamp Druid
株取引のおもしろさ
Hearthstoneとのかかわり


環境を対策したControl Priest


……優勝おめでとうございます。決勝戦はものすごい長期戦になりましたね。
 ありがとうございます。 決勝戦が長すぎたのでほかの試合を覚えてないです(笑)。そうすいさんとの決勝戦第2試合のPriest対決はデッキが全部無くなるところまでいきました。
 相手の行動をカウンターするカードしかなかったので、途中からお互いに何もできなくなったんです。場にMinionを出して様子見するだけでターンを終えたり、Mind ControlでMinionの奪い合いになったりしていました(笑)。
 最終的にはぼくのデッキのほうが(Shadow Word: DeathShadow Word: Painでやられない)アタック4のMinionが多かったので、それで押し切ることができましたね。

……というより、デッキの大半がアタック4のMinionですね(笑)。Big Game Hunterから下が全部アタック4ですよ。
 そうですね。これは今思うと対Priestによかったです(笑)。


写真:ダルさんのControl Priest

……デッキにDark Iron DwarfAbominationが2枚入っているのが珍しいですね。
 Dark Iron DwarfShadow Word: Deathと組むために入れています。Priestはアタック4のMinionの処理が苦手なので、これで相手のMinionのアタックを上げてからShadow Word: Deathで潰すんです。
7マナのコンボなので後半からでないと使えないのですが、使える状況ではとても役に立ちますね。同様にDark Iron DwarfからBig Game Hunterというコンボも考えています。

 Abominationは最初は入れていなかったのですが、Aggroに序盤からMinionを展開されると詰んでしまうと思い、また、今回の環境ではDruidが多いと思ったので入れました。Force of NatureではSilenceを使わない限りAbominationを突破できないんですよ。今回はたまたま当たらなかったのですが、Zooなどもこれ1枚で止まりますね。当たったとしてもこれとShadow Madnessでごまかそうと思っていました。

……アタック2以下のMinionを奪うCabal Shadow Priestも2枚入っていますが、使えずに手札で腐ってしまうことはなかったのでしょうか?
 Shadow Madnessもそうなんですが、今回のリミテッド対戦会はHarvest Golemがやたらと多くのでよく刺さりました。なんだかんだでほかにもアタック2以下のMinionはいたので無駄になる場面はなかったですね。

……このデッキはアイデアからすべてご自身で作られたのでしょうか?
 はい。もともとは「相手のデッキのカードに全部対応して、相手のデッキを切らせて勝ちきる」というコンセプトのデッキだったのですが、Rankedはテンポが速く、全然勝てなかったのでお蔵入りさせていました。それを今回の環境だったら強いかなと思って蘇らせてみたんです。

 当時は(Big Game Hunter2枚というふうに)カウンターのカードをたくさん入れていて、もっと後ろによったマナカーブになっていました。なのでAbominationがあってもAggro HunterやZoo Warlockといったテンポの速いデッキにはめっぽう弱かったんです。 Control系のデッキには強いのですが、Miracle Rogueのようなコンボデッキにはこちらが決めるよりも先に相手のコンボカードが揃ってしまうので無理ですね。

 全体的に今回の環境を対策したControlデッキという感じで、戦い方としては序盤をWild Pyromancerなどのカードでごまかし、終盤戦まで持っていってからMind Controlといったカードで押し切ることを考えています。

Tauntが活躍したRamp Druid


……デッキにはIronbark Protectorが2枚入っているのが印象的ですが、試合では役に立ったのでしょうか?
 役に立ちませんでした(笑)。これは失敗だったような気がしますね。今回の環境にBig Game Hunterはいないだろうと思っていたのですが、Ironbark Protectorを出したところ普通にそれで撃ち抜かれて終わりました。


写真:ダルさんのRamp Druid

 デッキは基本的にはRamp Druidの構成ですが、Cenariusが入れられないので代わりに何を入れようか、と思ってIronbark Protectorを挿してみたんです。見ての通り後半戦のMinionの重さで勝ちきるというコンセプトになっています。

……マナカーブが後ろに大分寄ったデッキという印象ですが、Aggroデッキにも勝てるのでしょうか。
 試合では対応できたのですが、もしかしたら大丈夫じゃなかったかもしれません。タイミングよくSwipeStarfallといった全体除去とKeeper of the GroveといったMinionを引けたのでなんとかなりました。

 また、最終戦ではそうすいさんのデッキがControl寄りであることがわかっていたのでBig Game Hunterを2枚積んでいるのですが、リミテッド対戦会では各ラウンドの合間にカードを入れ替えていました。Zoo Warlockが怖かったのでBlood Knightを2枚入れたところ、これが(相手のArgent SquireなどのDivine Shieldを奪う形で)とても機能したので勝つことができました。

……Ramp Druidは本来Ragnaros the FirelordといったLegendaryカードが多く入っているデッキですが、リミテッド対戦会でそれらが使えない点は厳しくはありませんでしたか?
 ぼくが普段使っているRamp DruidもCenariusしかLegendaryカードが入っていないので、特に厳しいとは思いませんでしたね。
 また、Rankedでは相手がThe Black Knightを出してきてTauntを潰される場合もあったんですが、リミテッド対戦会ではそれが出てこないので、とにかくTauntを出し続けていれば相手は嫌がると思っていました。今回使う人が多かったForce of NatureもTauntで止められますから。

……逆にこのデッキにはForce of Natureが入っていないんですね。
 そうですね。デッキのコンセプトとして「盤面を抑え、相手が何もできない状態して勝つ」というのがあったんです。中途半端にForce of Natureを入れると盤面を抑える力が弱くなってしまうので、その方針を重視した形です。

……試合ではどちらのデッキを先発で使っていったのでしょうか。
 基本的にはDruidですね。どんなデッキにも広く対応できること、このデッキが負ける相手は次に控えるPriestが刺さるということがあります。
 このデッキが負けるのはZoo WarlockなどのAggro系か、もしくはMind ControlShadow Word: Deathといった大型Minionの対策が豊富なPriestですね。ちょうど後ろのデッキがそれに対応できる形になっています。
 あとはShamanが少し不安ではありますが、Hexが2枚しかないので物量でなんとかなるかな、と思います。

……今回のデッキはどのように準備されたのでしょうか?
 今回は事前に準備せずに会場でデッキを作ったんです。Controlデッキが好きなのでRamp DruidとPriestにしよう、というデッキの方針は決めていたんですが、会場で(周りの人たちと)練習してみたらPaladinにぼこぼこにやられてしまったりしたので、その対策でAbominationを入れたりして調整したんです。そうした微調整がたまたまうまくいったという印象でした。


写真:決勝戦で盤面を圧倒するPriestのダルさん(上)

株取引のおもしろさ


……株の個人投資家というご自身の職業について教えてください。
 ぼくは「企業の良し悪しを判断し、将来上がってくる株を長期保有して利益を出す」という形の投資をしています。
 株取引はやっていておもしろいですよ。皆さんはデイトレードのイメージが強いかもしれませんが、ぼくのやっている長期保有は「現実の未来がどうなるかを当てるゲーム」だと思っています。「こういうサービスやお店、会社が流行るだろう」と思って目を付けた企業の株を、皆が地味だとか、小さいとか、ベンチャーだからといった理由で評価していないうちに買うんです。それが後になって流行ったりするとうれしいですね。「ほら、ぼくが言ったでしょう?」というふうに言えるので(笑)。

 だからぼくは株が好きですね。その関係で昨日発売された『会社四季報 2014年3集 夏号* 』といった雑誌も読んでいます。
会社四季報:東洋経済新報社が70年以上に渡り季節に応じて刊行している企業情報誌。上場企業全3500社強の傾向を分析し、今期・来期業績を独自予想しているのが特徴である。
会社四季報 2014年3集 夏号』(東洋経済)

……これまでに投資した具体的な企業名は?
 ぼくが最初に買った中で印象に残っているのは「かつや* 」というかつ丼の飲食店です。簡単にいえばかつ丼が一杯500円、割引券を使えば400円で食べられます。普通の定食屋さんよりもおいしくてボリュームのある形のお店ですね。ぼくはいつも目を付けた会社は現地で調査するのですが、買う株は出向いて調査するんですが、「この値段でこのかつ丼が食べられるのはすごいな」と思って買いました。

 今は飲食業の人件費が上がっているといった事情があるので投資していないのですが、ぼくが投資を始めた2009年はデフレ時代だったので(そのときに上がってきていた)飲食業などから始めることにしたんです。
参考リンク:とんかつ・かつ丼「かつや」公式サイト

……十分に企業を調査した上でその株を長期保有して利益を出すのですね。こうした株のお話はネット上でもされるのでしょうか?
 最近はなるべく知り合った人とだけ喋るようにしているのですが、ブログとTwitter、そしてニコニコ生放送で株の話をしています。最近はHearthstoneもニコニコ生放送でやっているんですけど、株関係の人たちから「お前またゲームしてるのか」と言われますね(笑)。
 ただ、ネット上で活動していると実力以上に人に見てもらえるようになる、というのはありますね。発信を続けていくうちに実力の高い人たちと知り合うことができて、そういった人たちと内輪で話せるようになりました。それで株にもいい影響が出ています。


写真:ダルさんの株ブログ内かつやの分析記事

……これはHearthstoneの上達にも共通していそうですね。情報を発信することでいろいろな人からのフィードバックがもらえる。
 そうですね。情報を発信したり、自分をアピールしたりしていって損はないと思います。

Hearthstoneとのかかわり


……ダルさんがHearthstoneを始められたきっかけは何だったのでしょうか?
 昔「カードヒーロー*」というカードゲームをやっていたんです。プレイヤーがHero Powerを使えるという点でHearthstoneとは共通していますね。
 それで、「今でもカードヒーローに関心を持っている人はいるのかな」と思ってTwitterで検索したところ、「Hearthstoneがカードヒーローに似ている」というつぶやきを見つけたんです。そこから興味を持ってHearthstoneをインストールしたところはまってしまいました。

* カードヒーロー:任天堂が2000年に発売した「トレード&バトル カードヒーロー」と「高速カードバトル カードヒーロー」。カードの分類や場の枚数が少ないためシンプルでわかりやすいルールになっている。
参考(ニコニコ大百科):カードヒーローとは

……Hearthstoneはどんなところが魅力だと思いますか?
 Hearthstoneはシンプルなのに奥が深いゲームですね。英語が読めなくても、触っているうちに直感的にわかる部分があります。「Minionってこれだな」とか、「Tauntってこういうことなんだ」とか「このカードの効果ってこういうことなんだ」とか。なのにやってみると(デッキや行動の)選択肢がとても多くて奥が深いんです。そこがよくできていておもしろいですね。

 また、このゲームですごいな、と思うのはテストプレイを重ねて作られているところです。ほかのトレーディングカードゲームだと、基本的にはカードを買わせるためにどんどん強いカードを出していくじゃないですか。その繰り返してカードの強さがインフレしてバランスが崩れていくんですけど、Hearthstoneはオンラインゲームということもあってカードに修正をかけるでしょう。たとえば、昔8マナだったMind Controlを修正しなかったらクソゲーになっていたと思うんです。Blizzardのゲームは今まで全然知らなかったのですが、こういうふうにちゃんとバランス修正をする態度がすごく好きですね。(強いカードを作っていかないことで)Blizzardが儲かっているのかは心配ですけど(笑)。


写真:リミテッド対戦会の決勝戦でプレイするダルさん

……カードに修正をかけられるのがオンラインカードゲームの良さですね。Blizzard側の利益といえば、Hearthstoneにダルさんは課金していますか?
 課金は正直なところ2万円しています。最初に40パックに5000円、次にアリーナに1万円、最後に「Rankedをやりたいけどこれもないあれもない」ということで5000円を課金しました。
 アリーナに課金していたのは「お金を払って負けると悔しいので上手くなる」と思ったからなんです。実際、それで必死になれました。
 課金額が1万円になったところでアリーナが(常に一定の勝利数を挙げられるぐらい)トントン以上に回せるになったんですが、そのままアリーナを回していてもカードが全部集まることはないな、と思ったので最後に40パック課金したんです。これで(カードが集まって)ほぼやりたいことができるようになりました。

 課金してもいいと思うならアリーナにお金を払って練習するのがお勧めですね。パックより利回りがよく、本気になれるのでいいと思います。

……アリーナにお金を払うことで必死になるから強くなれる、というのはおもしろいアイデアですね。ダルさんにはRankや大会優勝といった、今後の活動方針はありますか?
 あえて言えば「強くなりたい」「イベントに出ていっていろんな人と喋りながらゲームをやりたい」というのはありますけど、特に「Hearthstoneで特別なことをしたい」というのはないです。

……では、こういったゲームのオフラインイベントにはよく参加されるのでしょうか?
 いえ、基本的に株関係の集まりにしか出ていなかったので、こうしたオフラインのイベントに出たのはゆるHearthstone会が初めてです。

 少し前までは仕事をやっていたので、ほかのことをやる暇もあまりなかったんですよ。今は独立して時間ができたのでHearthstoneをやるようになりました。先ほども言ったように「株が動いている時間にトレードをする」というタイプではないので、チラッと(株価を)見ながらゲームしています。「そんなんじゃダメだよ」と(株関係の人たちに)怒られるんですけど(笑)自分はそういうスタンスでやっています。

 毎日Hearhtstoneをプレイする時間は決まってないですね。やるときは起きている時間ずっとやるし、やらないときはまったくやらないし、という感じです。夢中になったり、「クソゲー」と思ってやめたり(笑)。

 オフラインで喋りながらわいわいやると楽しいので、皆さんもぜひこういう場に出てみるといいのではないでしょうか。オンラインだと勝っても負けてもそれで終わってしまうんですけど、オフラインなら試合後に相手からフィードバックがもらえますから上手くなるかもしれません。

……本日はどうもありがとうございました。

 リミテッド対戦会の環境を読んだ構築のほか、「株の投資家として独立したことで時間に余裕ができてHearthstoneがプレイできるようになった」というのがインタビューしていて特に興味を引かれました。
 以前、StarCraft IIのあるプレイヤーが「プロゲーマーになるにはまず投資家になるのが一番の近道」と言っていたことを思い出した次第です。
 株取引には「研究を積み重ね、それに基づいて行動する」というゲームに似た側面があると聞きますから、Hearthstoneなどの戦略ゲームが好きな人には案外向いているかもしれません。

 なお、ダルさんはHearthstoneのフレンド募集中とのこと。興味を持った方は下記リンク等から連絡を送ってみてはいかがでしょうか。

ダルさんの関連サイト等
Battletag:daru1986#1217
Twitter:ダル♪
株ブログ:ダルだぜ☆
Hearthstoneブログ:ダル♪の趣味ブログ
ニコニココミュニティ:ダル生♪

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