2014年6月6日金曜日

「Lifecoach氏の配信を見ていたことがプラスになった」 Hearthstoneガチオフトーナメント優勝masam選手

5月31日にe-sports SQUARE AKIHABARA(e-SQU)で開催された「Hearthstoneガチオフトーナメント」で優勝したmasam(マサマサ)選手のインタビューです。


写真:優勝のmasam選手

 masam選手はWarcraftシリーズをこよなく愛する30代の洋ゲープレイヤー。トレーディングカードゲームにおいても「Magic: The Gathering」を15年以上もプレイしているベテランです。
 HearthstoneのNAサーバーではレジェンダリー100位台に到達したことがあるほか、ほかの大会でも結果を残しており、5月10日に開催された「ゆるHearthstone会」のリミテッド対戦会では優勝、5月17日に開催されたManaGrind's Friday Night Swiss NA #22では準優勝という成績を収めています。

 なお、masam選手にIDの読み方の由来を聞いてみると「元々は『masamasa』だったんですが、(ほかのゲームなどで)そのIDが使われていたことがよくあったんです。以前は『masamasamasa』にしていたんですけど、長いと面倒なので最終的に『masam』になりました(笑)。なのでmasamの呼び方は『マサマサ』でお願いします」とのことでした。

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目次


masam選手の大会スコア
試合の感想
使用したデッキについて
対戦相手との心理戦
普段の練習について
今後の目標

masam選手の大会スコア


1回戦
(Rogue)masam 0-1 Dtoys(Paladin)
(Warlock)masam 1-1 Dtoys(Paladin)
(Warlock)masam 2-1 Dtoys(Rogue)

2回戦
(Rogue)masam 1-0 Evitomato(Warlock)
(Rogue)masam 1-1 Evitomato(Shaman)
(Hunter)masam 2-1 Evitomato(Shaman)

3回戦
(Warlock)masam 1-0 barusa(Warrior)
(Warlock)masam 2-0 barusa(Shaman)

準決勝戦
(Rogue)masam 0-1 void(Rogue)
(Druid)masam 1-1 void(Rogue)
(Druid)masam 2-1 void(Warlock)

決勝戦
(Rogue)masam 1-0 Lignin(Mage)
(Rogue)masam 2-0 Lignin(Warlock)
(Rogue)masam 3-0 Lignin(Rogue)

試合の感想


……優勝おめでとうございます。Miracle Rogueミラーの第3試合はヘルス1点で競り勝つ大接戦でしたね。
 ありがとうございます。「相手にEviscerateがあったら負ける!」と思っていたのですが、最後のカードがBlade furryだったので勝ちを拾えました。
 ほかの試合でも「相手が特定のカードを持っていたら負けるのにたまたまそのカードを引かれてなかった」というシーンがたくさんありましたから、今大会は全体的にとても運がよかったですね。
 たとえば準決勝第3試合のRamp Druid対Handlockの試合では、相手のvoid選手が「Arcane GolemPower Overwhelmingで強化し、それをFaceless Manipulatorでコピーする」というコンボで16点のダメージを入れてきたんです。このときこちらのヘルスは18点だったから、あと1枚SoulfirePower Overwhelmingがあったら負けていたんですが、2枚とも残り5枚となったvoid選手のデッキの中に眠っていたようなので、ぎりぎり勝つことができました。


写真:決勝戦第3試合でヘルス1点を残して競り勝った場面

……決勝戦の各試合の感想を聞かせてください。
 決勝戦第1試合ではLignin選手がMageを使ってきたのが印象的でした。あのタイプのMageは珍しいと思います。4点ダメージのIce Lanceといったカードが入っていたので、HunterやHandlockに強いAggro Mageの亜種かなと思ったんですが、そのほかGiantやIce BlockなどのControl向きのカードも入っていて、相手の手札にどんなカードがあるか読めませんでした。試合ではすごく慎重にプレイしていましたね(笑)。

 第2試合のHandlockと第3試合のMiracle Rogueは自分がRankedでよく対戦する相手だったので普通にプレイできました。でも第2試合でLignin選手がWarlockを使ってきたのは意外でしたね。Miracle RogueはDruidに弱いので、きっとLignin選手はDruidを使ってくると思っていたんですよ。
 最初のマリガンでは「Zoo WarlockだとMiracle Rogueに弱いから相手のデッキはHandlockだろう」と思い、Handlock用の手札をキープしていきました。

使用したデッキについて


……ほぼすべての試合で1戦目にMiracle Rogueを使っていたのはなぜでしょうか?
 「Miracle Rogueに対して強いデッキはほかのデッキに弱いことが多い」からです。海外サイトのMeta Analysis*1 でMiracle Rogueがトップになっているのをよく見ますが、それはMiracle Rogueの天敵(Miracle Rogueに強く、かつ弱点のないデッキ)がまだ発見されていないからだと思うんですよね。

 Miracle RogueはTauntがたくさん入ったShamanやRamp Druid、Handlockが辛いのですが、仮に1戦目でShamanに負けたとしても(ShamanにはHunterという天敵がいるので)「2戦目にHunterを使ったら楽勝だった」ということがよくあります。

 その意味ではどのデッキとも戦えるZoo Warlockを1戦目に使うことも考えたのですが、大会で多いであろうMiracle Rogueに対してZoo Warockは不利なので、やはりMiracle Rogueが安定だと思って1戦目に選択しました。
*1 Meta Analysis:Hearthstoneのトレンド(Meta)を分析(Analysis)して記事にしたもの。Liquid HearthのPower RankやiHearthU.comのMeta Reportなどがその典型。
参考記事(LiquidHearth):HS Class Power Ranks-May 2014
参考記事(iHearthU.com):The Meta Report #19

……決勝戦第2試合の感想でも触れられていましたが、Miracle RogueはZoo Warlockに対して有利なのでしょうか?
 Miracle RogueはZoo WarlockなどAggroデッキ全般に有利ですね。BackstabSI:7 Agentといった軽い除去が多いので、Aggroデッキの小さなMinionをさばいて盤面を取っていけるんです。特にZoo Warlockは(Life Tapで)ヘルスが減るから、相手が防御をおろそかにした隙を突いてコンボで一気に倒せたりします。

……3戦目のbarusa選手との試合では1戦目にHandlockを使っていましたね。
 この間のManaGrind's Friday Night Swiss NA #23の優勝インタビューを読んだのもありますが、どの大会の履歴を見てもbarusa選手はWarriorで参加されていたので、「これは絶対にWarriorを使ってくるな」と思って相性のいいHandlockを使いました(笑)。
 Warriorは除去が少ないのでMountain GiantといったHandlockの大型Minionの処理が苦手なんです。よく「序盤でAncient WatcherTwilight Drakeを凌ぐのに除去を使ってしまい、後半の大型Minionを潰せなくなる」という展開になりやすいですね。試合ではbarusa選手もそういった除去切れの負けパターンを警戒していて、Brawlの使用タイミングを計るなど、うまく立ち回っていたのですが、最後にはやはり相性差が出る形となりました。

 2戦目ではMidrange Shamanを使われたんですが、barusa選手の手札が事故っていたのでいびつな展開になっていました。それに加えてHexを引かれていなかったことと、こちらが早めにMinionを展開して押し切る戦術を選んだことがうまく噛み合い、勝つことができました。運がよかったと思います。

……大会に向けて特に準備したデッキはありましたか?
 Miracle RogueやHandlockといったデッキは用意できていたのですが、それに加えて「今の環境用のHunterを作っておかないとまずい」と思い、Secret満載のHunterなどを探してきてRankedで練習しました。(Miracle Rogueに強い)Ramp Druidもそうですが、特定デッキに対するカウンターとして使えるデッキは一通り持っておきたかったんです。


写真:masam選手のデッキリスト

対戦相手との心理戦

……対戦した選手たちの印象はいかがでしたか?
 皆さんプレイングがしっかりしていて、レベルが高いと思いました。やっていて「なるほど」と思える動きが多かったんです。特に決勝戦など、試合が進むと「相手の手札にこのカードがあったらこうなる」といった計算を対戦相手がやっているのが見て取れました。
 麻雀などもそうなんですが、「自分の手だけ見ている」のではダメなんですよね。「相手の手札を読む」のはもちろん、そこから「相手が自分の手札を想像してどんなふうに考えているか」というところまで想像して初めてそのターンの最善手が見えてくるものなんです。
 言い換えれば「自分の手を想像している相手を考えてプレイする」ということですね。大会にはそのレベルの人が参加しているという印象を受けました。

……試合では見えない戦いが繰り広げられていたんですね。
 ええ。たとえば(HandlockでShamanと戦っていて)Twilight DrakeEarth Shockが飛んでこなかったら、相手はEarth Shockを持っていないとわかるでしょう。
 逆に言えば、こちらがShamanの立場でEarth Shockを持っていたとしても、それを撃たなければ「相手はこちらがEarth Shockを持っていないと思い込む」ということなんです。
 したがって、もし後半に向けてEarth Shockを温存する必要があれば、そこで「あえてEarth Shockを撃たないで相手を誘導する」といったプレイングもできるわけです。
 このような相手とのコミュニケーション(心理戦)がHearthstoneなど不完全情報ゲームのおもしろさだと思います。

……それがHearthstoneのプレイを続けている理由でしょうか?
 いえ、単にWorld of Warcraftが好きだからです(笑)。先ほど解説の方も言っていましたが、World of Warcraftをやっていると(関連キャラクターがHearthstoneに出てきて)楽しいですよ。これから出るHearthstoneの拡張セットのCurse of Naxxramasも、その元のダンジョン*2 がWorld of Warcraftにあって、それを攻略しにいけるんです。World of Warcraftは英語なので敷居が高いといえば高いのですが、やったことのない人はぜひやってみてほしいですね。

*2 Naxxramas:World of WarcraftのRaid(多人数攻略型)ダンジョン。ダンジョン内は5つのウイングに分かれており、Hearthstoneの拡張セットのCurse of Naxxaramasに出る敵Heroの「Heigan the Unclean」などがボスとして出現する。
参考記事(Wowhead):Naxxramas



写真:World of Warcraft(上)とCurse of Naxxaramas(下)のHeigan The Unclean

練習の仕方


……普段masam選手が参考にしているプレイヤーなどはいますか?
 Lifecoach氏*3 ですね。彼はすごく頭がよくて、「このターンどうしてこういうふうに動いたのか」という説明を全部してくれるんです。論理的な英語で、しかも話が長いから聴いていて疲れますけどね(笑)。よく制限時間の導火線が出るまで説明しています(笑)。

 説明してくれるプレイヤーといえばほかにもTrump氏がいますが、彼は初心者向けの格安デッキを組んだりしているように、「初心者にわかりやすく」という面が大きいですね。配信ではわかりきってることも説明してくれるのでやさしいんです。また、英語がわかりやすい。強くなりたい人はLifecoach氏を見て、始めたばかりの人はTrumpを見るのがいいと思います。
 後はAmaz氏もいますが…彼はリアクション芸人ですね(笑)。英語がわからなくても見ていておもしろいと思います。Priestを使う人なら役に立つと思うんですけど…(笑)。

 そういったプレイヤーと比べると、話が実用的で、中身があるという意味でLifecoach氏が1番ですね。ただ、半裸で実況しているのはどうにかしてほしいです(笑)なんで脱いでるのか(笑)。

*3 Lifecoach:元ポーカープレイヤー。現在はHearthstoneを楽しみでプレイしており、NAとEU両方のサーバーでレジェンダリーRank1を達成した。主に日本時間23時~翌11時30分に配信している。
Lifecoach氏の配信ページ(Twitch):Lifecoach1981


写真:上半身裸で配信を行うLifecoach氏(Twitchの配信録画より)

……masam選手のお勧めはLifecoach氏の配信なんですね。
 ええ。私は普段あまりゲームをこなせなくて、100勝行ってるHeroもいないのですが、それでも上手くなれたのはLifecoach氏の配信を見ながらプレイしていたからだと思いますので、ほかのプレイヤーの皆さんにもぜひお勧めしたいですね。
 英語が難点ですけど、最近Googleのアプリのような、音声を認識して翻訳サービスが出てきたじゃないですか。(それで配信を聴くのは今はまだ難しいかもしれませんが)将来そういったツールが発展していって、日本人が海外実況を見ることの敷居が低くなればいいなと思います。
参考記事(アンドロナビ):海外旅行に必携!さらに使いやすく便利に『Google 翻訳』
参考動画(youtube):音声を認識して翻訳ができる、Google 翻訳アプリ



写真:masam選手のRogue勝利数。まだ12勝しかしていない

……今大会でもLifecoach氏の配信を見ていたことがプラスになったのでしょうか?
 はい。彼がSunshine Hutner*4 を使って配信していたとき、「次のターン相手に最善手を打たせないためにあえてこちらは最善手を打たない」という動きがありました。
 たとえばこちらがMageでFlamestrikeを次のターンで撃てるというとき、Fireblastで相手のヘルス5のMinionに1点飛ばすと、こちらにFlamestrikeがあることが相手にばれてしまうでしょう。したがって次のターン、相手はFlamestrike前提で(Minionを並べないというふうに)動いてくるようになるんですよ。
 別の例を出すと「(次のターンに仕留めようと相手のヘルスを削りに行ったら)読まれてAlexstraszaで回復されてしまった」といった動きですね。

 そのような動きがたまたま今回の決勝戦第1試合でもありました。Deadly Poisonを使えば相手のMinionを潰せる場面があったんですが、そうすると相手に動きがばれてしまうのであえてやらなかったんです。
 また、Lignin選手も(後半ヘルスがなくなってからなど)わかりやすいタイミングでIce Blockを使っていたでしょう。それで私もIce Blockを想定して動けてしまったので、Lignin選手としてはできればCounterspellなど、ほかのSecretの可能性を匂わせられるタイミングでIce Blockを使いたかったはずです。(効率が良い動きなので)ミスではないですが、試合ではそれが私のほうにうまく転びました。

*4 Sunshine Hunter:Lifecoach氏がUtH弱体化前に使っていたMidrange Hunter。LegendaryがLeeroy Jenkinsしか入っていないので作りやすい
デッキ(Elite Decks):Hearthstone Hunter Deck: Sunshine Hunter -
配信録画(Twitch):#1 Legend Lifecoach plays golden Sunshine hunter deck!
参考動画(youtube):ユーザーによるデッキ解説


……ところで、大会中に試合のメモを取っていたのが印象的でした。ご自身のブログにも対戦の詳細な記録を残されていますね。
 これはほかのゲームをやっていたときからの癖ですね。私は反省して同じミスを繰り返さないようにしないとプレイヤーとして強くならないと思っているので、自分と相手の使用デッキやゲームの敗因、そのほかに気になったことなどを書くようにしています。Rankedは適当にプレイすることもあるので、ある程度はケースバイケースですけどね。


写真:masam選手の大会中メモ。各試合の使用デッキと勝敗が記載されている


写真:masam選手のブログでは対戦の記録と大会感想が記述されている(未来永劫初心者日記:Hearthstone:オンライントーナメントに出てみた

今後の目標


……大会など、今後はプレイヤーとしてどんな目標を持たれていますか?
 基本的にはそこまで気負わず、ゲームを楽しんでいきたいと思っています。レジェンダリーのトップ16は遠いのであまり目指してないですけど、e-SQUなどの大会には定期的に出ていきたいですね。特に、この間のゆるHearthstone会のリミテッド対戦会は違うレギュレーションでしたから、工夫し甲斐があって楽しかったです。

……e-SQUといえば、今回の大会の方式について気になったところはありましたか?
 そうですね。運営が大変になると思うんですが、負けてすぐに終わってしまうのは悲しいので、シングルイリミネーションではなくダブルイリミネーションにしてほしかったですね。
 また、試合の結果報告が「試合後に参加者がスタッフに結果を伝え、それをスタッフがトーナメント表に反映する」という方式だったので、たとえばManaGrind's Friday Night Swissで使われている対戦表作成サイト「Challonge*5」を使用するなど(スタッフを介さなくても結果報告と反映ができるように)すればもっと運営が簡単になるんじゃないかなと思いました。

 でも、ここe-SQUには今回初めてきたのですが、(しっかりした設備が整っていて)びっくりしました。休日開催で参加費1500円というのも普通はないですし、逆に秋葉原でこの値段でやっていけるのかと不安になるレベルです。

*5 Challonge:海外の週間大会「ManaGrind's Friday Night Swiss」などで広く用いられている対戦表作成サイト。参加者が対戦表で結果報告するだけで大会が進行していくので運営の負担が大幅に軽減される。トーナメントのほかに総当り戦やスイスドロー式トーナメントの対戦表作成にも対応している。

写真:ManaGrind's Friday Night Swiss NA #23のChallongeの決勝トーナメント表

……では、日本の大会で「こういう大会がほしい」というのはありますか?
 「ManaGrind's Friday Night Swiss」のような気軽に参加できるオンラインの週間大会が日本にもあったらいいなと思います。オンライン大会はGAMERS LEAGUEもありますけど、(World Championshipのシード参加権がかかっているのもあって)ちょっと重たいですからね。その上、1試合BO5とかめちゃくちゃきついですよ(笑)。
 運営はいろいろ大変だと思うので、Twitchの大会配信ページに広告を張るといった形で収入を得られないとやっていけないかもしれませんが、週間大会は日本にはまだないので需要はあるんじゃないでしょうか。気楽なエンジョイ勢としては、ぜひそういった大会に参加したいですね。

……どうもありがとうございました。


写真:e-SQU会場で大会前に練習するmasam選手(手前)

 masam選手はブログ「未来永劫初心者日記」を2005年から運営されており、Hearthstone関係記事には前述の対戦記録のほか、各デッキの分析、「どのように考えてプレイするか」といった対戦論、上達に役立つ海外記事の紹介などが掲載されています。上手くなりたいというプレイヤーの方はぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
masam選手のTwitterアカウント:@masammasam
masam選手のブログ:未来永劫初心者日記


写真:masam選手のブログ「未来永劫初心者日記」

 余談ですがmasam選手は洋ゲーに触れていたことがきっかけで英語の読解力とリスニング力がかなり身に付いたといいます。英語を喋るのはまた別の練習が必要なのでちょっとできないとのことですが、Hearthstoneのような洋ゲーをプレイするのは学習面でも大いにプラスになると言えるかもしれません。

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