2014年8月10日日曜日

洗練された演出! 台湾最大のe-sportsイベント「2014 Taiwan Open」 Day2 StarCraft II部門レポート

TWOP公式サイト:2014 Taiwan Open
試合録画(英語):2014 Taiwan Open Day 2 [English]
トーナメント表(Liquidpedia)2014 Taiwan Open - Liquipedia - The StarCraft II Encyclopedia

 台湾のプロリーグ「Taiwan eSports Laegue(TeSL)」が開催する台湾最大のe-sportsイベント「2014 Taiwan Open(TWOP)」 Day2(8月9日)StarCraft II部門のレポートをお送りします。

会場を埋め尽くす観客達

目次



Day2 StarCraft II部門開幕

 TWOP Day2 StarCraft II部門が始まったのは午後6時。Day1で揃ったベスト4の選手(HyuN選手、Ian選手、Sen選手、Has選手)がBO5の準決勝戦に臨みます。前日と同じく、すべての試合が実況解説と共に会場スクリーン、そしてネットで放送されました。
  Day2 StarCraft II部門の開幕にあたって台北市長の連勝文氏が開催の挨拶を行い、Ian選手が地元選手を代表して台湾国歌を歌い上げました。

赤と青のライトに照らされるステージ

台湾の国家を歌い上げるIan選手

開催の挨拶を行う次期台北市長候補者の連勝文氏

開幕の様子を見守る観客達

Tシャツを広げてアピールする人も

準決勝戦 Ian選手 対 HyuN選手

 準決勝戦第1試合を戦うのは前日に世界最高のプレイヤーの1人であるJaeDong選手を破ったIan選手と、Ian選手のチームメイトのLeenock選手を倒して勝ち上がってきたHyuN選手です。
 準決勝戦からは選手入場の際に「選手が中央のTeSLの演台上でTシャツにサインし、そのTシャツを観客に向かって投げる」というパフォーマンスが行われました。

 地元ファンは前日に大金星を挙げたIan選手に熱い声援を送ります。ベースを拡張し合う長期戦となった1戦目はお互いになかなか軍量差が生まれない状況が続きましたが、そんな中でIan選手は巧みにインフェスターのファンガルグロウスでHyuN選手のローチを足止めし、HyuN選手の本軍を殲滅することに成功。そのまま物量で圧倒して1戦目を勝利したのでした。
 「Ian選手はJaeDong選手に続いてHyuN選手も撃破してしまうのか?」会場はそんな地元ファンの期待に包まれました。しかし、HyuN選手もベテランとして負けてはいられません。HyuN選手はStaCraft II黎明期の2011年からプロ活動を続けているベテランです。韓国チーム「Team SCV Life」が2013年に解散した後には海外チーム「Quantic Gaming」と契約。今年初めに給与未払い等の問題でQuantic Gamingを抜けると、2月にはROCCATをスポンサーとして獲得するなど、独力で海外への挑戦を続けてきました。そんなHyuN選手が意地を見せ、残る試合をラッシュを交えて3連勝。優勝賞金の30万ドル(約101万円)に一歩近づいたのでした。
 Ian 1-3 HyuN

演台上でTシャツにサインするIan選手

1戦目は互角の展開のまま長期戦に突入

Ian選手の応援カードをかかげる女性ファン

3-1で勝利したHyuN選手

ステージで安堵の表情を見せるHyuN選手

ファンの声に応えるHyuN選手

準決勝戦 Sen選手 対 Has選手

 続く準決勝戦は台湾人選手同士の対戦となりました。Ian選手と共にyoe Flash Wolvesに所属するHas選手は17歳でありながら韓国のグランドマスターランクトップ50に入る実力の持ち主で、今後の成長が期待される若手ナンバーワンの選手です。一方でSen選手はe-sportsタイトルをプレイする台湾人で知らない人はいないほどのスタープレイヤー。StarCraft Iの時代から韓国人選手の中に外国人として1人割って入り、存在感を放ってきました。陽気で決断がすばやく、「自分がやりたいことをやる」というスタンスで、StarCraft IIでもラッシュから長期戦まで、あらゆるスタイルのプレイを実行します。
 同様に「StarCraft IIがおもしろくない」と感じたときも別のゲームも躊躇なくプレイするため、時にはHearthstoneを1日中プレイしている様子がファンに目撃され、「Hearthstoneの選手に転向するのではないか」と噂されたこともありました。長年TeSLのチーム「Gama Bears」に所属してましたが、2013年11月にチームとの契約が切れる形で脱退し、今年2月からは香港のe-sportsチーム「Hong Kong Attitude」で活動しています。
 試合は1戦目こそHas選手が勝利したものの、2戦目からはSen選手が安定したプレイを見せ、3連勝で決勝戦へとコマを進めました。
Sen 3-1 Has

Has選手は「フォースフィールド」というスキルで通路に壁を作って凌ごうとするが、Sen選手の物量には敵わなかった

勝者決定の瞬間

勝者インタビューで続く決勝戦の抱負を語るSen選手

3位決定戦 Ian選手 対 Has選手

 Ian選手とHas選手で迎えた3位決定戦、好調のIan選手が有利かと思いきや、Has選手のラッシュにテンポを乱され、Ian選手は思うように力を発揮できません。試合は意外にもHas選手の3-0という結果となりました。3位決定戦に勝利したHas選手のインタビューでは、英語司会のBreaker氏がその勝利を祝うためにHas選手を持ち上げ、そのパフォーマンスに会場は大いに湧いたのでした。
Has 3-0 Ian

プロトスの最強ユニット「コロッサス」も交えて圧倒的な軍量差で攻め立てるHas選手(青)

壁を発生させるスキル「フォースフィールド(画面左上)」で相手の郡を分断し、その間に本拠地を攻撃するHas選手(青)

「Thank you guys come to Taiwan Open」という言葉と共に投了したIan選手

3位決定戦を勝利したHas選手

Has選手を持ち上げてその勝利を祝う司会のBreaker氏(左)

決勝戦 Sen選手 対 HyuN選手

 迎えた決勝戦はHyuN選手とSen選手同士の対戦となりました。HyuN選手が颯爽とステージに登場した後、Sen選手は地元ファン達とタッチしながら入場し、BO7の対戦に臨みます。

 1戦目はSen選手が勝利したものの、続く試合をHyuN選手に奪われ、2:3とHyuN選手にリーチされてしまいます。「このまま終わってしまうのだろうか」という地元ファン達の不安と共に迎えた6戦目はお互いに基地を拡張しあう展開となりました。
 その中で先に動いたのはHyuN選手です。本軍で攻めると共にSen選手の陣地内部にローチを送り込んでドローンを削っていったのですが、そのドローンと引き換えにSen選手は軍量で上回ります。HyuN選手は引き続き細かく軍を分けてSen選手の陣地を攻撃しますが、すでに軍量には歴然とした差がついていました。Sen選手はHyuN選手の攻撃に慎重に対応しつつ、大量の軍隊を陣地に雪崩れ込ませて6戦目を勝利したのでした。

決勝戦に向けて飾られたTWOP優勝トロフィー

入場するHyuN選手

観客達とタッチしながら入場するSen選手

決勝戦が行われたときは午後10時を過ぎていたが、会場の熱気は収まらない

ROCCATのHyuN選手対HKAのSen選手

6戦目でHyuN選手の攻撃をカウンターするSen選手(赤)

長期戦の末にSen選手(赤)は逆転

フルセットで迎えた最終戦

 フルセットで迎えた最終戦はHyuN選手がベインリングラッシュを決行! しかしSen選手はこれにも動じず、防衛ユニットのクイーンと建物を並べて壁を作り、ローチで確実にベインリングを仕留めていきました。Sen選手がラッシュを返した時にはすでに大きな軍量差ができていて、続くSen選手の猛攻をHyuN選手は止められません。こうしてSen選手の優勝が決まると、会場のファンはスタンディングオベーションで地元の英雄を称え、手を挙げて「SEN! SEN! SEN!」と熱烈なコールを送ったのでした。

逆転勝利を演じたSen選手をスタンディングオベーションで称える観客達

トロフィーを掲げるSen選手

司会のJoeman氏からのインタビューに答えるSen選手

会場から溢れるSenコール

ステージに降りるSen選手とHyuN選手

優勝賞金の30万台湾ドル

TWOP StarCraft II部門閉幕

 Sen選手を称えるSenコールの後、会場は閉会の流れとなり、最後のイベントとしてベスト4選手によるサイン会、そしてTeSLによるプレゼント抽選会の当選者発表が行われました。サイン会では世界トップクラスのプレイヤーのサインをもらおうと、会場のファンほぼ全員が長蛇の列を成して並び、選手も1人ひとりに対して丁寧にサインすると共に記念撮影の要望にも快く応じていたのでした。
 なお、HyuN選手は8月10日から11日まで世界大会「Wolrd E-sport Championships 2014」の韓国予選「Korean Qualifier」に出場するとのことで、明日の飛行機で韓国に戻るそうです。

閉幕後の会場風景

サイン会に並ぶファン達

1人ひとりに丁寧にサインするSen選手とHyuN選手

ファン達との撮影会に応じるベスト4の選手達(左からHyuN選手、Has選手、Ian選手、Sen選手)

サイン会後に談笑するIan選手、Has選手、HyuN選手(左から)

プレゼント抽選会の当選者発表

撤収を行うスタッフの皆さん 紙吹雪の後始末はなかなか厄介


「ショウ」として完成されたイベント

 世界トップクラスの選手、実況、試合を見守る観客、そして洗練された演出。今回のTWOPはあらゆる面で非常に完成度の高いイベントでした。その中で特に印象に残っているのは、「演出面で工夫されていた」ということです。一例として「試合開始から終了までの動き」を挙げてみます。

1:試合開始前には選手が舞台裏で待機する
2:司会者が選手の名を呼び上げ、選手がカメラに追いかけられながら入場
3:選手が中央のTWOPステージで握手を交わし、防音設備の施されたブースに入る
4:試合後に勝者が中央のTWOPステージに戻る
5:勝者がインタビューに答え、その内容を英語に翻訳する

司会のJoeman氏(左)が選手に質問し、その内容をBreaker氏(右)が翻訳する

 このような一連の流れが「休憩時間にDJが軽快な音楽をかける」「各種照明機材を使う」等の工夫と共に、極めてスムーズに行われていました。これには開催前日の8月7日に選手・実況解説者を含む関係者で行われた綿密な「リハーサル」の効果もあったでしょう。結果、「ショウ」として非常に完成度の高いイベントになっていたと思います。
 「試合をショウとして見せる」というのは、選手と選手の真剣勝負という点から見て、少し違和感があるという方もいるかもしれませんが、「見ていておもしろいものである」というのはそのスポーツの発展にとってとても重要なポイントです。オリンピックでも「試合運びが遅い」として野球は外され、柔道はより激しい展開となるようにルールが改正されました。どんなに強い選手が最高のプレイをしたとしても、それを称える観客がいなければ何にもならないのです。

 HearthstoneにもESGN Fight Nightという映像クオリティを重視したオンラインストリーミングがありました。「十分な視聴者を獲得する前に映像に巨額の資金を投入してしまった」ため、残念ながら制作コストの割に合わずに潰れてしまいましたが、映像は非常におもしろい内容に仕上がっていましたから、e-sportsイベントが目指す形としては間違っていなかったと思います。

映像クオリティを重視したオンラインストリーミングのESGN Fight Night

 ショウとしてのイベントに興味のある方はぜひTWOPの試合録画を見て、その完成度の高さを実感してください。

TWOP公式サイト:2014 Taiwan Open
大会配信(英語・中国語):2014 Taiwan Open
トーナメント表(Liquidpedia)2014 Taiwan Open - Liquipedia - The StarCraft II Encyclopedia

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