2014年8月3日日曜日

「Loathebはプレイヤー同士の駆け引きを促進する優れたカード」 WCS台湾地区最終予選英語実況解説Gnimsh氏インタビュー

 8月3日に開催される世界大会「Hearthstone World Championship」の台湾地区最終予選において、Dan "Frodan" Chou氏とMarcin "Gnimsh" Filipowicz氏が現地台北のBlizzardイベント内で英語解説を担当します。それに先立って両実況解説者がイベントを訪れており、Gnimsh氏に私nemukeがトーナメント方式やCurse of Naxxramasなどについての話を聞くことができました。その内容の一部をインタビューとして下記に掲載します。


会場のイベント「傳奇競技場」でHearthstoneをプレイするGnimsh氏(左)


……こんにちは。まずお聞きしたいのですが、大会の試合形式について、Gnimsh氏が考える最高の形式は何でしょうか?
 相手のデッキの中から1HeroをキックできるBO5(5本勝負)ですね。

 敗者がデッキを変更できるHearthstoneの試合では、初戦を勝った側がものすごく有利になるんです。最初に1勝してしまえば、続くゲームを負けたとしても強力なカウンターのデッキを当てていけますから。(感覚的には)初戦を勝った側が70%ぐらいの確率でそのまま試合を制していますね。

 そこで(国際大会「IEM Shenzhen」などで最近導入された)キックシステムがあれば、プレイヤーは相手デッキを見て強烈なカウンターデッキを排除できますから、試合も単純なカウンターデッキの当て合いにはならず、相性が近いデッキ同士の対戦になるので、初戦を負けた側にも勝ち目が生まれるんです

 対戦数はBO3だと少なすぎます。多ければ多いほど実力が反映されやすくなっていいのですが、時間が長くなる関係からBO5が精いっぱいでしょう。見ている側も「いつまで続くんだ」と思ってしまいますから。

……キックシステムにはそんな利点があったんですね。では、シングルイリミネーションやリーグ戦といった大会方式についてはいかがでしょうか?

 オフライン大会の予選グループならスイスドローがいいですね。1回戦で総当たりを行った後、「2回戦で1-0と0-1同士、3回戦で2-0と1-1と0-2同士」というふうに以降を勝利数が同じプレイヤー同士で対戦を組んでいくという方式です。この方式の良さは誰でも一定数の試合を楽しめることですね。(リーグ戦は時間がかかりすぎますし、)ダブルイリミネーションーナメントは2回負ければ終わりです。中には自分で旅費を負担して遠路遥々大会まで来たというプレイヤーもいますから、そんなプレイヤーが2回戦って終わりというのはおもしろくありません。「グループステージをスイスドローで行って16人に絞ってプレイオフを行う」というのがベストな方式だと思います。

……Curse of Naxxramasの2週目に追加されたLoathebについてはいかがでしょうか? 相手のSpellを一方的に制限するばかりか、5マナ5/5というサイズなのでどんなデッキにも入ってしまい、誰もが「強すぎる」と口にしています。

 「次のターンの相手のSpellのマナコストを5点増やす」というのはよくできたカード効果だと思います。

 Blizzardの方針として、相手の行動を制限するカードはHearthstoneに入れないようにしていました。たとえば「相手の手札を見てその中からカードを1枚捨てる」といった手札破壊のカードがあると、「重いカードばかりの手札の中でようやく来た軽いカードが相手に捨てられてしまう」といった状況が生まれてしまい、カジュアルプレイヤーがゲームを楽しめなくなってしまうからです。

 しかし、その結果として対戦ではお互いの駆け引きが少なくなり、Miracle RogueやRoar Druidなど「相手を無視して先にコンボパーツを集めたほうが勝ち」というデッキが環境を支配するようになりました。

 ここにLoathebが入ったことで、たとえば「次のターンに相手DruidのSavage RoarForce of Natureのコンボにやられてしまう」という状況でもLoathebを出して相手の計画をつぶせるようになりました。これは相手の行動を制限するものの、手札破壊ほどプレイヤーの楽しみを奪うようなものではありません。ちょうどいい形で駆け引きの要素を増やしてくれたと思います。

 5/5というサイズは少し問題かもしれませんね。私はAzure Drakeと同じ5マナ4/4というステータスでも多くのデッキに入ると思います。

……Hearthstoneはe-sportsとしての広がりを見せていますが、一方でHearthstoneにはランダム性が強く、RTSのStarCraft IIのようにスキルベースのゲームとは言い難いものがあります。Hearthstoneのランダム性についてはどのように考えていますか?

 ランダム性は受け入れるべきだと思います。ランダム性というのは一方で、スキルの低いプレイヤーが強いプレイヤーに勝てる可能性も与えてくれるものですし、観戦の楽しみを増やしてくれますから、(ゲームを楽しいものにするという意味で)残すべき要素だと思います。

 たしかにHearthstoneにドローやカードのランダム性に左右されるところは多くありますが、それでも何回も対戦をするに連れて熟練度の違いというのが出るものです。私達トッププレイヤーのレベルでは「1回のミスで勝敗が決まる」というのが往々にして起こります。そのミスというのはたとえば「2ターン目に武器で攻撃しなかったせいで9ターン目に1点足りなくて負けた」といった些細なことも含みます。このような先の先まで考えて行動できるかどうかで勝率は変わってくるものです。

……Gnimsh氏は以前Magic: The Gatheringといった別のカードゲーム経験も豊富ですが、それらと比べてHearthstoneのランダム性はいかがでしょうか?
 Magic: The GatheringはHearthstoneのマナクリスタルに相当する要素が「土地」というカードとして存在するので、「手札に強いカードがあるのに土地が引けなくて出せなくて負けた」といった状況が多く発生します。一方で、Hearthstoneはマナクリスタルにランダム性はありませんが、カードにランダム性が含まれています。それを踏まえるとどちらも同じぐらいだ、というのが私の考えです。

……どうもありがとうございました。

 Gnimsh氏はとても落ち着いた方で、私の下手な英語の質問にも丁寧に説明を加えながら答えてくれました。こういったおおらかな人格のプレイヤーが世界のe-sportsをリードしていくのかもしれません。8月3日のWCS台湾地区最終予選は私nemukeが現地からレポートをお届けする予定です。

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