2014年8月17日日曜日

「デッキ内の全カードを覚えていた」 WCS台湾代表FrozenIce選手インタビュー

 台湾人トッププレイヤーFrozenIce選手のインタビューです。現在26歳のFrozenIce選手はアジアサーバーの全シーズンでLegendaryを達成し、その中でLegendary1位を獲得したこともあるほどの実力の持ち主で、8月3日に開催された「Hearthstoneの世界大会『World Championship(WCS)』台湾地区最終予選」では準優勝し、WCS台湾代表となりました。
 インタビューでは当日の試合感想のほか、現在(8月14日)使用中のデッキリストを送ってもらい、その特徴を語ってもらいました。


FrozenIce選手

目次

WCS台湾地区最終予選について
現在(8月14日)使用中のデッキリストについて


WCS台湾地区最終予選について


……WCS台湾代表資格の獲得おめでとうございます。今のお気持ちはいかがですか?
 ありがとうございます。今までアメリカに行ったことがなかったので、今回WCS本戦行きが決まってとてもうれしいです(笑)。

……Hearthstoneを始めるまで、ほかにどんなゲームをプレイしていたのでしょうか。
 BlizzardゲームではDiablo IIなどをプレイしていました。Diablo IIIにも手を出しましたが(おもしろくなかったので)1ヶ月でやめてしまいましたね(笑)。World of Warcraftはプレイしていません。たぶんおもしろいとは思うのですが、やり始めると止まらなくなりそうなのが怖いので。
 カードゲームもよくプレイしていました。中学生の12~14歳の頃にMagic: the Gatheringを、21~22歳のときに遊戯王オフィシャルカードゲームのNintedo DS版をやっていました。

 Hearthstoneはオープンベータ開始後に台湾のFacebookページで「エグゼクティブ・プロデューサー『Hamiluton Chu』の来台イベント(*1)」の広告を見たのがプレイを始めたきっかけです。

*1:台湾で今年1月28日に行なわれたHearthstoneオープンベータテスト開始記念イベント。イベントにはHamiluton Chuのほか台湾StarCraft IIスター選手のSenと有名女性実況者Bellaが登場し、エキシビジョンマッチを行なった(齁勝!直擊《爐石戰記》製作人與Sen、女主播Bella對決/ETtoday)。


ステージ上でインタビューに答えるFrozenIce選手

……決勝戦では残念ながら0-3となってしまいました。
 実を言うと決勝戦は気楽にプレイしていたんです(笑)。正午から今(午後5時)までずっと試合が続き、お昼を食べる時間すらなかったのでものすごく疲れていました。合間の休憩時間もせいぜい5~10分程度しかなかったんです。

 決勝戦1戦目のHandlock対決は雑でしたね…。あまり考えず相手のヘルスを削っていったため、Tom60229選手がMolten Giantを出すのを許してしまいました。

 優勝こそできませんでしたが、本戦行きは確定していますから、しょうがないかなと思っています。(10万台湾ドルの賞金は大きいですが)ぼくにとっては海外に行けることのほうが重要だったんです。


FrozenIce選手が大会で使用したデッキリスト

……大会中、FrozenIce選手はMidrange Hunterを活用していたのが印象的でした。
 Handlockに対してとても強いデッキです。大会では誰もがHandlockを使うので、それをカウンターできるデッキが欲しいと思っていました。

 Hunterは4月上旬~月末に集中的にプレイしていたのでとても使い慣れていたんです。最高でLegendary2位を達成しましたが、Malygos Rogueやその他のMiracle Rogueが流行るにつれてHunterが勝てなくなり、(Unleash the Houndsのコストが2から3に増えたこともあって)以降3ヶ月間Hunterをプレイしていませんでした。最近は学業が忙しいので配信できていませんが、当時の配信録画がぼくのTwitchアカウントに残っています。

 今大会でHunterを使うことを決めたのは世界大会「World E-sport Championships 2014(WEC)」のEU予選でHunterを使っているプレイヤーがいて、「これは強いかもしれない」と思ったのがきっかけです(WECEU予選のデッキリスト:WEC Hearthstone EU Qualifiers: ALL Decks Released!/2P.com)。でも7月26日のWCS台湾地区一次予選ではHunterを使わずに隠しておきましたから、誰もぼくが今日このデッキでプレイするとは思っていなかったでしょう。


Watch live video from icecastle on Twitch
4月21日のFrozenIce選手によるTwitch録画

……では、Hunterのカウンターになるデッキとは何なのでしょうか。
 HunterはWarlockのほか、Savannah HighmaneがDruidにとても強いですね。弱点はMiracle Rogueではないでしょうか。Unleash the Houndsが弱体化される前からMiracleはHunterには一定の強さがありましたから。ほかのHeroに対しては可もなく不可もなく、という感じですね。4:6ぐらいで不利なマッチアップもあるかもしれません。


WCS出場資格がかかった威傅選手(画面下)との試合をMidrange Hunterで勝利した場面

……11月のWCS本戦に向けた目標は何でしょうか?
 もちろんチャンピオンになることですよ(笑)。でも、今回の予選に勝つので精一杯だったので今まで本戦については考えてなかったですね。ほかのことを考えていると気持ちが分散してしまうので、今日の試合に集中することにしていました。
 本戦に向けた練習はいつもと変わらず、Rankedとフレンド対戦を回すほか、試合のVODを見てデッキを研究する形になると思います。

……Naxxramasのバランスについてはどう考えていますか?
 Miracle RogueがLoathebによって弱体化すると思っています。Miracle Rogue自体はとても強いデッキだと思いますが、今回の予選ではDruidを使うプレイヤーが多かったですね。たぶん、Miracle Rogueは使うのが難しいせいかもしれません。Miracle Rogueで勝つにはデッキの全カードを覚えることが必要です。今回の試合でも「デッキ枚数が残り1枚のときにAzure DrakeBloodmage Thalnosを引き、3点ダメージのFan of Knivesで相手のMinionを一掃する」という場面がありました。見ている人たちはなんでこんな動きができたのかわからなかったかもしれませんが、ぼくにはデッキ最後のカードがBloodmage Thalnosだと分かっていたので簡単でした。


デッキ枚数残り0枚のBloodmage Thalnos

……Naxxramasでは今後どういったデッキが強くなると考えていますか?
 うーん、実を言うとぼくはデッキを作るのは上手くないんです。ちょっと恥ずかしいんですが(笑)、他のクリエイティブなプレイヤーが作ったデッキをコピーすることばかりしています。一部のカードを変更したりはしますが、自分で一からデッキを作るとどういうわけかとにかく負けます(笑)。League of Legendsなどほかのゲームではプレイヤーとコーチが分かれているように、ぼくはHearthstoneでは単なるプレイヤーなんです。なのでぼくにはコーチが必要ですね(笑)。


現在(8月14日)使用中のデッキリストについて


 8月14日にFrozenIce選手が送ってくれたデッキと、それについての彼自身による解説を下記に紹介します。


FrozenIce選手が現在(8月14日)使用中のデッキリスト

……WarriorのデッキにはNaxxramasの新カードが入っていますね。
 このWarriorはThijsNLのEU#1 Legendary Warriorをベースにしています。Naxxramasの新カードが増えてから2マナ1/3のUnstable Ghoulを加えたほか、5マナ3/5で死亡時に1/2のTauntを生み出すSludge BelcherAzure Drakeの代わりに加えました。もしかするとSlamFaceless Manipulatorも抜いたほうがいいかもしれません。

……Warlockのデッキが2種類ありますね。
 片方はHandlockで、もう片方はHandlockにDemonを入れたDemon Giantです。多分普通のHandlockのほうが安定していると思いますが、Demon Giantはプレイしていておもしろく、弱くはありません。

……Demon Giantの長所はどのあたりなのでしょうか?
(Handlockと同じく)Hunterに弱いです :( しかしDoomguardDread InfernalといったMinionがたくさん入っているおかげでShamanやMiracle RogueにはHandlockよりも明らかに強くなっています。ぼくが思うに、Miracle Rogueには盤面を取っていくのがとても重要ですね。

……手札を2枚捨てるDoomguardが入っていますが、Mountain GiantTwilight Drakeと相性が悪くないのでしょうか。
 ときどき10枚の手札があってもTaunt付与のMinionだけだったり、Giantだけだったりとどれも使えない場面があります。その場合は何も考えずDoomguardを出していってかまいません。手札と盤面のどちらが必要か、状況に応じて決めればいいんです。

……5マナ・5/7 ChargeのDoomguardは盤面の制圧に役立ちますからね。
 そうですね。Zoo WarlockやToken DruidといったAggro系のデッキと対戦しているときも役に立ちます。これらのデッキは盤面を取ってきますから、手札を削ってでも場を掃除したい状況がよくあるんです。

……どうもありがとうございました。
 FrozenIce選手はデッキのスクリーンショットのみならず、自身が参考にした記事も丁寧に教えてくれ、非常にフレンドリーな選手だという印象を受けました。

 それにしても、12時以降ゆっくりと食事できる時間がなかったというのはハードな進行でしたね。できれば主催者もこの点は改善するべきではないでしょうか。
 もし改善できないとすれば、このように大きなイベント内の大会では休憩時間があまり取れないわけですから、選手の方は空いた時間にさっと口にできるサンドイッチなどを自分で用意しておくといいかもしれません。当日の会場はWCS台湾地区最終予選以外にもステージイベントが目白押しで、本番以外の食事などの時間を長く取るのも難しいという気はしました。

 インタビューしていて興味深かったのは「プレイは得意だがデッキを自分で作るのは苦手」という話でした。将来Hearthstoneがe-sportsとして発展してくると、League of Legendsのようにチーム内の人員をプレイヤーとコーチ(デッキ製作担当)で分けて、明確に役割分担を行なうチームも出てくるかもしれませんね。

 なおWCS本戦は11月開催ですが、その前にもFrozenIce選手はAmaz選手など招待選手12名が参加するオフライン国際大会「IronForum Night」(8月17日開催)に出場します。

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