2014年9月3日水曜日

「WCS予選に勝ってアメリカで戦いたい」GAMERS LEAGUE 2014 Season1 プレイオフ優勝 civila選手インタビュー

 8月24日に開催された国内オンライン大会「GAMERS LEAGUE 2014 Season1」で優勝したcivila選手のインタビューです。今大会で優勝したcivila選手は今後開催されるHearthstoneの世界大会「World Championship(WCS)」のアメリカ地区予選出場資格に出場します。

 「League of Legends(LoL)のプロ選手が配信で空き時間にHearthstoneをプレイしているのを見てHearthstoneを始めた」というcivila選手は千葉県在住の20代。現在は実家である農家の仕事を手伝いながら、配信ソフトウェア「PeerCast」でHearthstoneの配信実況プレイをしています。Hearthstoneは過去に最高でアメリカサーバーのLegendaryランク2位に到達したほどの実力で、その視聴者数は多いときで100人を超えるとか。

 そんなcivila選手は今大会にどのような思いで臨んでいたのでしょうか。試合の感想や使用デッキ、配信を始めたきっかけ、そして今後の目標について聞きました。

civila選手が使用したデッキリスト(Hearthpwn)
Warrior
Hunter
Priest
Druid


目次

試合の感想
HunterとWarrior対策のPriest
大会に向けたデッキ選択
civila選手がHearthstoneを始めるまで
PeerCastの配信について
GAMERS LEAGUEの感想とWCSの目標

試合の感想


……GAMERS LEGUE 2014 Season1優勝おめでとうございます。決勝戦を勝利されていかがでしたか?


 ありがとうございます。決勝戦で当たったnacanoob選手はすでにLegendary16位以内を達成してWCSアメリカ地区予選への出場資格を持っている(*1)上、一時的とはいえLegendary1位を達成したこともありますから、すごい選手だなと思っていました。そんなnacanoob選手に勝ててとてもうれしかったです。

(*1)4月~8月までの各シーズンの終わり(月末)にアメリカとEUサーバーでLegendary16位を達成したプレイヤーはその地区のWCS予選出場資格を獲得できる(Join Us for the Hearthstone World Championship!/Blizzard)。

……月末までにLegendary16位というのはcivila選手の実力でも難しいのでしょうか。


 はい。ランクだけなら私も最高でLegendary2位になりましたが、それは月初めにスタートダッシュでやってLegendaryプレイヤーが少なかったからなんです。Legendaryプレイヤーがある程度増えてから上げた中での最高は20位でしたが、月末になると16位争いが熾烈になるのですぐ下がってしまいます。月末にはLegendaryプレイヤーの総数が増えて対戦相手も強くなりますから、ランク2桁以降からはランクを上げるのは難しく、負ければ一気に下がるようになります。

……大会で印象に残っていることはなんでしょうか?


 やはりHunterが多かったですね。「Hunterを制するものが大会に勝つ」という印象でした。

TraceOn選手の
Control Rogue
大変だったのがTraceOn選手が1戦目に出してきたRogueです。最初はMiralce Rogueかなと思っていたのですが、Sen'jin ShieldmastaDefender of ArgusArgent Commanderに加えてRagnaros the Firelordも入っているというControl風のRogueでした。
 「AggroとHunterさえ潰せば何とかなるだろう」と思っていたのですが2連敗してしまい、3戦目のWarriorで勝てはしましたが、それも相当ギリギリでしたからね。やっているときは「これストレートで0-4もありえるな」と思って頭を抱えていました。

 意外だったのはDeathrattleのShamanですね。Kel'Thuzadが出てきてひどいことになったゲームです(笑)。序盤は悪くない試合運びだったんですけど、中盤相手がSludge Belcherを出してきたんですよよね。それで、「こっちもMinionを出して次のターンに倒せばいいかな」と思っていたんですが、次のターンにKel'Thuzadが出てきて…。
 その後Sludge Belcherが特攻してきてかつKel'Thuzadで生き返ったことで、大量のMinionが展開されてしまいましたね。


TraceOn選手がKel'Thuzadを使ってMinionを大量に展開した場面(試合動画

TraceOn選手の
Reincarnate Shaman
たまたまBrawlを持っていたので掃除できたのですが、それがなかったら終わっていました。それまでは普通のデッキだと思っていたので、すごく不意を突かれましたね。TraceOn選手には意外なデッキが多かったです。

 あとは、nacanoob選手との決勝戦でHarrison Jonesが刺さったゲームが2回ありました。1つはControl WarriorAggro Rogueのときに耐久力4のAssassin's Bladeを壊せた場面と、対Shamanで耐久力6のDoomhammerを壊せた場面です。

 Control Warriorは序盤を武器でごまかしながら強いMinionにつなげていくデッキなんですが、ShamanにはTotemの処理に武器を使わせられるので辛いんです。TauntのTotemはもちろん、放置しているとDefender of ArgusFlametongue Totemに利用されて面倒なことになりますからね。やっと5マナ、6マナで「Legendaryが出せる」と思ったらHexで無効化されてしまい、どんどん出てくる相手のMinionやTotemに圧倒されてしまいます。

 nacanoob選手とのゲームではマリガンでHarrison Jonesを残すか迷ったのですが、ほかにFiery War AxeHarrison Jonesがあって、序盤を凌げそうだったので残していきました。そしてDoomhammerを壊してカードを大量にドローし、除去カードをいっぱい仕入れることができたので勝てたんです。


Harrison JonesDoomhammerを壊してカードを6枚ドローした場面(試合動画

 ただ、あれだけ引いてかつBattle Rageも使って常に豊富な手札を揃えていたにもかかわらず、かなり粘られましたね。普通は「Shield SlamしてRagnaros the Firelord」とか、「ExecuteしてAlexstrasza」とか、相手のMinionを消しながらLegendaryを出したら普通はゲームが終わるはずなんですけど、粘られて粘られて。途中微妙なプレイングもありましたが、やはり「Shamanは相性が悪いな」と思いました。Doomhammerが残っていたら正直負けていたと思います。そこは序盤からHarrison Jonesを残したのがよかったですね。

……長丁場の試合でしたが、特に疲れを感じた場面はありませんでしたか?


 自分では疲れていないつもりだったのですが、不注意だったせいか、Tansoku選手と私のHunter対Miracle Rogueで「Beastが出ていないのに5点ダメージだと思い込んでKill Commandを4/4のEdwin Vancleefに使ってしまう」というミスをしてしまいました。あのときはもう「やってしまった!」という思いでいっぱいでしたね。前のターンにSavannah HighmaneSapで手札に戻されたのが厳しく、その時点で負けに近かったのですが、Kill Commandのミスで負けが確定してしまいました。

 実は海外大会でも確かDream Hackで同じようにKill Commandを間違えた人がいたんですよね。見ていたときは「いやー、それ間違えるとかあるかー?」とか思っていたんですけど、そしたら自分でもやってしまった(笑)。「もう人のことを笑えないな」と思いましたね。


5点ダメージと間違えてKill Commandを使ってしまった場面(試合動画

……ずっと配信されていたことでプレッシャーはありませんでしたか?


 私は割と目立ちたがりなので、逆に配信されることでモチベーションになったかな、と思います。
 特に難しい操作も必要ありませんでしたし、1回画面を出せば後は配信側で調整してくれるので簡単でした。スカイプ通話はミュートにしていましたから、実況の声が聞こえることもなかったです。

……civila選手はHearthstoneのトッププレイヤーの配信なども頻繁にチェックされていると思いますが、そういった選手とご自身の差はどのあたりだと考えていますか?


 上位の選手との試合では1ターンの重みが増すので、「ミスをしない」というのがとても重要になります。もちろん相手が使ったカードはちゃんと覚えてますし、「デッキの残りのカードでどうやったら勝てるかな」ということも考えてプレイしているのですが、特に難しいのは「この動きをするのは危ないけど、相手があのカードを持っていなければ勝てる」といった場面で「どう動けば勝てる可能性が一番高いのか」という期待値の計算ですね。トッププレイヤーはその判断が正確なんです。

 今回もそのことで間違えたゲームがありました。Tansoku選手のZoo Warlock対私のDruidの試合です。最後のターン、私は相手のDoomguardを除去できたんですけど、処理せずに相手の顔面を殴ってしまいました。そして次のターン、相手に残っていたDoomguardPower Overwhelmingで強化されて殴られ、ヘルスがなくなってしまったんです。Doomguardを処理してれば次のターンで相手がどんなカードを引いてきても負けなかったですし、Zoo Warlockは小さいMinionしか出てこないので後半はDruidがほぼ確実に勝てるんですよね。それが悔やまれました。


DoomguardPower Overwhelmingで強化され、ゲームを決められた場面(試合動画

HunterとWarrior対策のPriest


……civila選手が使用デッキにPriestを選択したのはどういった理由からでしょうか?


 Priestは今まで全く触っていなかったHeroなのですが、Curse of Naxxramasの追加カードで強化されたことと、Aggro Hunterには弱いのですが今の環境を支配しているMidrange HunterControl Warriorに強いことから選択していきました。
civila選手のPriestデッキ

……デッキの基本的な戦い方はどのようなものなのでしょうか。
 Priestにはバーストコンボがないので、「相手の攻めをひたすらさばいて勝つ」というのが基本的な戦い方になります。そのためZombie ChowDark CultistShade of Naxxramasと1~3マナ枠のMinionを厚くして序盤で盤面を取られないように工夫しています。

 1ターン目のZombie ChowはZoo Warlockを止めるのに強く、Shade of NaxxramasはStealthがあり、次のターンまで確実に生き残ってくれるのが魅力です。特に序盤の展開が遅い対Control Warriorで役に立ちますね。相打ちにしたいMinionが出てこなかったりした場合は寝かせておいてもいいですから、なかなか使い勝手がいいカードです。こうしたタフなMinionがいればPower Word: Shieldでヘルスを増やす対象にも困りません。

……新カードのDark Cultistについては?
 3マナ3/4というステータスがControl Warriorに強いですね。Control WarriorFiery War Axeなどで序盤を凌ぐようにできているので、1発で倒せないヘルス4のMinionは苦手なんです。かといって放置すればほかのMinionが出てきてDeathrattleを活用されてしまいますから、Control Warriorにとってはかなり面倒なカードです。

……3マナ枠にタフなMinionであるHarvest Golemを入れてないのは何故でしょうか? 序盤を安定させてくれるMinionだと思うのですが。
 最近いろいろなデッキでHarvest Golemを試していたのですが、アタックが2しかないのでAcolyte of PainArmorsmithを倒せなかったりして、「打点が足りない」という印象がありました。Aggroには倒されても復活するのが役立つのですが、Control系のデッキには大したプレッシャーにならないんです。
 どちらかといえばDark CultistHarvest Golemの代わりになっています。

……Circle of HealingAuchenai Soulpriestのコンボも1セットだけ入っていますね。


 はい。この全体4点ダメージは強いんですが、ただでさえ重たいデッキなのでコンボ前提のカードを2枚入れると事故を起こしやすくなると思って1枚にしました。Wild Pyromancerが2枚入っていることもあり、対Aggroはなんとか対処できるかな、と思っています。
 Circle of Healingと相性の良いInjured Blademasterも入れたかったのですが、それまで入れてしまうとデッキのバランスが悪くなってしまうので。

……新カードのSludge Belcherも2枚入っていますね。


 これも「どんなデッキにも入るかな」ぐらいの強いカードですね。同じ5マナMinionのAzure Drakeはドロー効果が強いものの、4/4しかないので一方的に倒されたりすることがよくあるんです。5マナかけて出したMinionが簡単に倒されるとテンポも遅れてしまいますから。

 Northshire Clericでドローを見込めることもあり、したがってLoathebSludge Belcherといった「単体で出して強いカード」を5マナに入れることにしました。

……Cabal Shadow Priestが1枚入っていますが、現在の環境を考慮しての選択でしょうか?


 ええ。Haunted CreeperAcolyte of PainArmorsmithといったアタックの低いMinionが多くのデッキに入るようになりました。以前よりも活躍の機会が増えていると思います。

……では、PriestがHunterに強い、というのは具体的にどのあたりなのでしょうか?


 Druidなどでよくある対Hunterの負けパターンが「Savannah Highmaneの対処に手間取っている間にヘルスを削られてKill CommandLeeroy Jenkins等のフィニッシュカードに削り切られてしまう」という具合なんですが、Priestの場合、Holy FireSavannah Highmaneをヘルスを回復しつつ処理できるので、ダメージレースで有利になるんです。Hero PowerのSteady ShotもこちらのLesser Healで帳消しにできますからね。序盤さえ凌げば後は耐えているだけで勝てることが多いです。

……Savannah Highmaneにどう対応するかが対Hunterでは重要ということですね。


 はい。たとえばDruidだと1ターンでSavannah Highmaneを倒すのが難しいので、「返しのターンに6ダメージを受けて、その次のターンで倒すことができても残りのヘルス足りない」という負けパターンが多いんです。

 Druidは後半のMinionが強いものの、盤面を取り返そうとした場面ですでに残りヘルス10点になっていたりします。こちらの出したTaunt Minionも強引にHunter's Markで突破されてLeeroy Jenkinsとか、あるいは顔面にKill Command2枚とかで削りきられてしまうことが多いですね。

 Healing Touchを入れたとしても回復にしかならず、ほかのデッキ相手に腐ってしまいますから、その点Holy Fireは除去と回復が一体になっているのが強いと思います。

……Harrison Jonesが入っているのもHunterとWarriorを見た選択でしょうか?


 今の環境だとHarrison Jonesは「とりあえず入れておけ」というカードだと思います。HunterはMidrangeだと武器のない形もあるのですが、Trap Hunterだと長時間持っていることが多く、WarriorもFiery War Axeと合わせて確実に4枚はデッキに入るようになりました。

 Warriorは序盤を武器でごまかしながら終盤に重いLegendary Minionを出して押し切るのが基本戦術なので、その武器を壊せると相手の計算を狂わせることができるんです。

……逆にPriestはどんなデッキが苦手なのでしょうか?


 展開が遅くて瞬間的に大ダメージを与える手段がないので、Miracle Rogueのようなコンボデッキには相性が良くないと思います。ちまちまやっている間に相手のコンボパーツが揃ってしまうことが多いです。
 また、Aggroデッキも苦手にしています。Sludge Belcherは2枚入っていますが、5マナなので間に合わないことが多いんです。実際、今大会のnacanoob選手との3戦目の対Aggro Rogueでも2枚のCold Bloodにやられてしまいました。

大会に向けたデッキ選択


……大会ではどんなデッキを警戒していましたか?


 用意した4デッキはどれもAggroデッキ(Aggro Hunter、Aggro Paladin、Aggro Rogue等)が苦手なんです。特に各種SecretとEaglehorn Bow、Charge Minionが入ったFace Hunterは一番危険だと思っていました。

 対抗するにはこちらもAggroを使うのが一番なんですけど、私自身はAggroデッキを使うのも好きじゃないんです。「Token Druidで多少スピードは追いつけるかな」程度で、「Aggroデッキがきたらきつい」という状態のまま大会に参加していました。

 でも、大会で当たったHunterは全員SecretもEaglehorn BowもないMidrangeでしたから戦いやすかったですね。

<h3 class="question">……civila選手のHunterにもSecretが入っていませんね。</h3>
civila選手の
Midrange Hunter

 そうですね。今最も一般的なMidrange Hunterだと思います。Trap Hunterも強いのですが、Hunter対決になるとFlareでSecretが消されて厳しいんですよね。今大会では皆がHunterを使ってくると思っていたので、Flareが怖くないようにSecretを抜きました。
 AggroやTrap Hunterはプレイングが難しいというのもあります。Midrangeもいろいろ考えるんですけど、基本的にはMinionを出すだけなので簡単なんです。

 また、HunterのほかにSecret Mageも警戒していました。あのデッキは展開がすごく早いのでFlareのあるMidrange Hunterじゃないと対抗できないんです。どのマッチアップにも強く、それでいてHunter同士でも勝てるHunterということでSecret無しのMidragne Hunterになりました。



……普段のRankedもHunterで回しているのですか?


 実はHunterはPriestと同じくほとんど触っていなかったHeroなんです。以前ものすごくHunterが流行った時期があったじゃないですか。Unleash the Houndsが2マナで、「どこ見てもHunterだけ」みたいな。そんなときも私は「流行ってるデッキなんて使わねーぜ」みたいな斜に構えた見方をしていてDruidを使っていました。

……一般的には「Hunterに弱い」とされるToken Druidを使っていたのも意外でした。


civila選手の
Token Druid
ええ。正直Hunterには強くないですね。このデッキは迷いに迷って一番最後に決めました。それまでのデッキは「Hunterは絶対使おう」「Warriorも割と練習していて環境でも強いので使おう」「この2つは対戦者も使ってくるからそれに強いPriestを使おう」という風にすぐに決まったんです。

 それで、最後のデッキには使い慣れていたMiracle Rogueでも入れようかと思っていたんですが、Miracle Rogueは新カードのSludge BelcherLoathebが追加されたことで辛くなってしまったんですよね。
 デッキ提出締め切りの8月23日午後11時まで本当に悩んでいました。悩んでいたにもかかわらずWarriorもデッキをいじってみたりしていて(笑)。

 結果的に「じゃあ、慣れているDruidでも使おうか。重いデッキが多いから軽いToken Druidで」というふうにしたのですが、対Hunterを考えると「Wild Growthで加速して質がいいMinionを出したいな」という思いが出てきて…。結果的には「1マナのArgent Squireが1枚、Power of the Wildが1枚、Wild Growthが1枚、Azure Drakeが1枚」という、TokenとRampの中間的なデッキになっていました。
 Wild Growthは2枚入れると中盤で撃つタイミングがなくなって腐ることもあるのですが、1枚ならまあいつでも撃てるかな、という感じです。

……多くの試合でDruidが先発でしたが、先発のHeroは事前に決めていたのでしょうか。


 実は結構悩んでいました。Hunterを出していくのが安定だと思っていたのですが、仮にHunter先発で負けた場合、後からHunterやMageを出されるとこちらの出すデッキがなくなってしまいます。カウンターデッキとしてHunterは残しておきたかったんですね。

 2回戦のTansoku選手はAggro Hunterを先発に使う印象があったので初戦から私もHunterを出していったのですが、結果はMidrange Hunterでした。全体的に、私がHunterを出したときは勝率が高かったですね。ラッキーな試合が多かったと思います。

civila選手がHearthstoneを始めるまで


……civila選手ご自身のゲーム暦についても伺いたいのですが、以前のインタビューによるとHearthstoneはLoLのプロの配信をきっかけに始められたとか。


 はい。LoLのプロが配信でゲーム開始前にやっていて、おもしろそうだなと思って始めたんです。HearthstoneはLoLに比べて1対1のゲームですから気軽にできるのがいいですね。マッチングも早いですし、試合自体も10分かからないで終わるじゃないですか。お手軽で楽しいゲームだと思います。

……もともとLoLなど対戦系のゲームを多くプレイされていたのでしょうか?


 「世界中の人とネットで対戦できるゲーム」はLoLが初めてでした。昔からファミコンやプレイステーションなどのコンシューマーのゲームを兄と一緒に遊んでいたのですが、遊ぶにしても1人用のRPGだったり、ときどき格闘ゲームもやっていたのですが家にネット環境が無かったので、やるとしても家に集まるとか、ゲーセンに行くぐらいでしたね。

 LoLには「世界で大流行していて、日本でも日本サーバーがないのにもかかわらずプレイ人口があり、大会も盛り上がっている」ということで興味を持ったんです。
 ただ、LoLは日本語版が無い上にチーム戦をする関係から外国人とコミュニケーションを取らないといけないんですよね。それで、私はすごく英語が苦手なんですよ。学校の授業でも一番嫌いなのが英語でした(笑)。そこが敷居が高いと思って、LoLに限らず洋ゲー全般を避けていたのですが、いざやってみたら「人と対戦する」というのがすごく楽しかったんです。これは自分でも予想外でした。

 BlizzardのゲームではDiablo IIIをかなりやっていました。時期としてはLoLを始めた後だと思います。
 カードゲームだと子供の頃に遊戯王オフィシャルカードゲームに少し触れていたのですが、対戦というよりもコレクションに近かったですね。当時はパックを買って「レアを引けた!」と言って友達と見せ合いっこしたりするのがメインでしたから、「勝つためにデッキを考えてプレイする」という意味でのカードゲームはHearthstoneが初めてです。

……Hearthstoneを始めたばかりの頃はアリーナを主にプレイしていたそうですね。


 そうですね。最初はカードがなかったこともあり、アリーナを主に回していました。アリーナって入るのにゴールドが必要ですけど、3勝以上すればカードパック以上のカードがもらえ、7勝以上すれば払った額のゴールドが返ってくることが確定します。このように「勝利数に応じて報酬がもらえる」というのがとても楽しかったんです。

 課金はほとんどしていないですが、やり始めたばかりの頃はアリーナに行きたくて何回か課金したこともあります。そこで以前プレイしていたDiablo IIIが関係してくるのですが、Diablo IIIには「公式にリアルマネーでアイテムを売り買いできるシステム(*2)」があるんですよ。そこではアイテムで売った利益をリアルマネーのほか、Battle.net Balance(BB)という「Blizzardゲームに共通して使える通貨」に換えることができるんです。リアルマネーに換えると手数料が大きくかかってしまうのですが、BBの場合は用途が限られる分手数料が少なくて済むんです。それで私は利益をBBに換えていたので、Hearthstoneを始めたときはBBが余っていたんです。それをアリーナに突っ込んで回していました。
(*2) Diablo III RMAH実装 実際にアイテムを現金化できるかやってみた/BuildForce


 アリーナは時間こそかかりますがリターンも大きいですし、ゲームで今持っていないカードも使えますから、それでカード効果や動きを覚えることができます。Illidan Stormrageとか実戦で見られないようなカードも(笑)。

……今は実家の農家を手伝っているとのことですが、プロゲーマーもしくはゲーム会社への就職など、ゲーム関係の仕事に就くという考えはなかったのでしょうか。


 私自身ゲームは楽しいから好きなのですが、これは遊びでやっているから楽しいのであって、仕事にするとなかなか大変なのかな、という気がしています。

 最近は世界的にプロゲーマーの存在も増えてきましたが、職として安定していないですよね。私自身は「人に勝つのがおもしろい」のでHearthstoneをプレイしているというところがあり、そのための努力も惜しまないのですが、「世界1になろう」というまでの情熱はないです。やはり自分にできる範囲でがんばっていきたいですね。

PeerCastの配信について


……civila選手はよく配信ソフトウェア「PeerCast(*3)」でHearthstoneのプレイを配信されていますが、PeerCast配信を始めたのは何がきっかけだったのでしょうか。


 もともとは2ちゃんねるの「なんでも実況系」の掲示板でWindows Media Encoder(WME)を使って配信していたのですが、WMEは自分がサーバーになって視聴者と直接つながる形式なので、回線が太くないと10~20人しか同時に視聴できなかったんです。人気者になればほかの人がミラーを立ててくれるので100~200人でも見られるのですが、それも大変だったのと、Peercastで見たい配信がいくつかあったのでそちらに移行しました。
 Peercastで配信を始めたのは2010年6月頃からなので、以来4年間Peercastの配信を続けています。
(*3) Peercast配信の視聴方法等はこちら。PeerCastとは?/PeerCast BootCamp

 PeerCastは高画質で視聴者の制限もないという点が魅力なのですが、「URLをクリックするだけで見られる」というTwitchやニコニコ生放送に比べると視聴者側に設定が必要なのがネックです。「Peercastのクライアントをインストールして、ポートTCP7144を開放して、イエローページという番組表が載っているページを開く」という手順の設定が必要なので初めての方に薦めにくいところはあります。
 また、配信者として視聴者のコメントを拾うにも、「外部に掲示板を用意し、そのレスを外部ソフトで拾う」という仕組みを作らなければいけません。

 私もTwitchに移行することを考えたこともあるのですが、すでに一定の方々が見てくれていますし、特に「世界に名を広めよう!」という気もないので、現状維持でいいかなと思っています。

……civila選手の配信掲示板「にゃん板」にはたくさんのコメントがついていますね。


 はい。ありがたいことに見てくれている方がたくさんいるみたいです。昔から見てくれている方がいること、そしてPeerCastHearthstoneの配信が少ないことがその理由でしょうか。
 また、番組表の中で特に見たい配信がなければ視聴者が多い配信順に探していくので、私の配信に人がちょっと集まると「人が多いから覗いてみよう」といって、視聴者数が雪だるま式に増えていくこともあります。
 今朝(8月25日)は大会の振り返り配信もやっていたのですが、朝は見るものが少ないこともあって、100人ぐらいの方が視聴してくれました。


civila選手の配信掲示板「にゃん板

……こうしてお話を聞いていると、とても喋り慣れている印象を受けますが、これも配信経験によるものでしょうか。


 実家なので使えないときもあるのですが、使えるときはマイクもつけていますから、その影響かもしれません。また、自分で録画を見たりすると「何言ってるのかわからないよ」という場面があるので、それも勉強になりますね。特にゲームしながらやっているとそちらに夢中になってしまって、だんだん小声になり、早口になるということがあるんです。できるだけゆっくり大きく喋ろうと意識しています。

……ゲームで喋りのスキルが身に付く、というのはいい副次効果ですね。


 そうですね(笑)。でも発声などはともかく、日常会話、すなわち「ゲームの話をしながら話題を途切れさせずに場を盛り上げる」というのは苦手なんです。淡々とゲームの感想を喋っている場面が多いので、エンターテイナーというよりは解説者のほうが向いているかもしれません。

大会運営の感想と今後の目標について


……当日実況を担当した者としても聞いておきたいのですが、GAMERS LEAGUEの運営について、選手の立場から特に改善してほしい点はありましたか?


 GAMERS LEAGUEさんについて言えば、「アナウンスが遅い」というのをよく感じましたね。たとえば「ルールや過去のお知らせに記述がなかったのに、大会当日になって公式サイトで『本日○○時までに参加表明をしてください」という指示が出る」といったことがありました。

 公式ルールページも少し編集されてはいるんですが、反映が遅かったり、古いルールが残っていたりして、ちょっと見辛いなと思ってしまいました。
 今回は各予選ごとにルールが変わっていたじゃないですか。たとえば私がプレーオフに進出した#1(6月8日)の決勝トーナメントでは選手によるデッキ提出と配信があったのですが、#2(7月13日)ではなくなっていました。選手も事前に知らされないと困ってしまうので、こういったアナウンスの遅れには改善の余地があると思います。

 私はルールページには細かく書いてほしいタイプなんです。「ルールに書いてなければOKなんだろうか」と思うことってたくさんあるじゃないですか。今回もルールに書いてなかったのでGAMERS LEAGUEさんに「個人配信とHearthstone Deck Trackerなどの外部ツールの使用は可能か」という質問をしました。許可しないという返事をもらって、最終的にはTwitterでそのことを告知してくれたんですけど、ルールページには反映されていなかったですし、ダメなら最初から周知してほしかったですね。

 また、相手手札のターンとデッキの残りが見られるHearthstone Deck Trackerを使っている人って結構多いんですよ。いわゆるチートツールとは違うのでBlizzardがダメと言っているわけではないようなんですが、大会となるとどうなのかな、と思います。使っていいなら選手の判断ですが、「本当はダメなのにルールに書いてなかったから使いました」となると不公平ですよね。やはりルールの周知は必要だと思います。

 いろいろと運営の方も大変だと思うんですけど、参加者は内情が見えないので、アナウンスとルールの変更はしっかりしてほしいですね。

……では、これから迎えるWCSアメリカ地区予選への意気込みはどうでしょうか?


 アメリカで戦いたいという思いがあるので、まずはオンライン予選を勝ちたいですね。

 ちょっと前に中国の世界大会「IEM Shenzhen(*4)」にtyson選手が行ってたじゃないですか。私はまだ海外に行ったことがないので、「予選に勝てたら中国に行ってもいいかな」と思っていたんですけど、「予選参加登録の時点でパスポートを所持していること」が条件だったんですよね。パスポート申請にも1~2週間かかってしまうので参加が間に合わず、それで泣く泣く諦め…という感じです。tyson選手が羨ましかったですね。だから、海外大会の機会があればぜひ参加したいと思っています。
(*4)7月16~20日に中国・深センで開催された世界大会。tyson選手が日本代表として出場した(世界大会「IEM Season9-Shenzhen」の初日が進行中、日本代表のtyson選手は予選グループ敗退/Nemukejp)。

……最後に、「これからHearthstoneを始めよう」という方に向けてメッセージをお願いします。


 LoLや「StarCraft II」といったほかのe-sports系タイトルだと操作技術が要求されるので、「まずキーボードとマウスさばきを練習」というふうに練習に時間をかける必要があるのですが、Hearthstoneは思考のゲームなので練習が必要なく、誰でもすぐに上達することができます。なのでゲームに興味を持った人はぜひ始めてみてほしいですね。

 最近はJCG(*5)などのオンライン大会も増えてきましたし、Hearthstoneを始めたばかりの人もぜひ大会に出場していってほしいと思います。
(*5)JCG:株式会社マイルストーンが運営するe-sportsの大会プラットフォーム。9月11日には優勝賞金1万円の「マスタークラス」が開催される予定(9月4日(木)21時よりJCG マスターズ 決勝選抜予選開催!)。

 日本のHearthstoneは洋ゲーとしては盛り上がっているほうだと思うんですけど、アジアのほかの国、たとえば台湾や中国、韓国に比べるとまだまだ差があります。だからプレイヤー間でもっとHearthstoneを盛り上げていきたいですね。

……どうもありがとうございました。



 以上、civila選手のインタビューでした。civila選手はとても温厚な方という印象で、Hearthstone、そして対戦が好きだという思いが話していてよく伝わってきました。今後開催されるWCSのアメリカ地区予選ではどのような活躍を見せてくれるのでしょうか。civila選手の試合を見られるのが楽しみでなりません。

civila選手の関連リンク
civila選手のTwitter:@civila123
civila選手の配信掲示板:にゃん板
PeerCast視聴方法の解説サイト:PeerCast BootCamp
GAMERS LEAGUE 2014 Season1でcivila選手が優勝、World Championshipのアメリカ地区予選出場資格を獲得/Nemukejp
過去のインタビュー:「GAMERS LEAGUE 2014 Season1 #1決勝トーナメントGroupI-P」優勝civila選手インタビュー/Nemukejp

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