2014年10月3日金曜日

「ゲームが好きだからこの活動を続けていられる」 StarCraft II&Hearthstoneキャスター、Artosis氏インタビュー

 StarCraft IIとHearthstoneのキャスターとして世界で活躍しているDan "Artosis" Stemkoski氏のインタビューです。

e-sports界のトップキャスター


 Artosis氏はアメリカでStarCraft IIの前作「StarCraft」のプロゲーマーとしてそのキャリアを始め、2007年には自身で開催した大会のキャスターを務めました。

 その後2008年には韓国から大会英語実況のオファーを受ける形で韓国に移住。以来6年間、StarCraft IIの世界大会「Global StarCraft II League(GSL)」でNicolas "Tasteless" Plott氏と共に英語の実況解説を担当してきました。2人のコンビは「Tastosis」と呼ばれ、ユーモア溢れるトークと知的な戦略の解説が世界中のファンから絶大な支持を集めています。

 2013年には当時クローズドベータ期間中だったHearthstoneに活動の場を広げ、キャスターとしてIhearthU主催の「King Of The Hill」といった大会の実況解説を担当。最近では世界大会「Hearthstone World Championship」のEU地区最終予選の解説を務めました。

 またHearthstoneの選手としても、2013年11月にはBlizzConで開催された「2013 Innkeeper's Invitational」で優勝、2014年5月6日には韓国で開催された「OGN Invitational」で準優勝するなど輝かしい成績を収めています。

 世界のe-sports文化と関わりの深いArtosis氏に今回、プロゲーマーに求められる資質、HearthstoneとStarCraft IIの活動を両立することの難しさ、そしてHearthstoneのゲームシステムとe-sportsとしての可能性などについて聞きました。
※掲載が遅くなってしまいましたが、このインタビューは2014年8月9日に台湾最大のe-sports大会「2014 Taiwan Open(TWOP)」でStarCraft II部門の実況解説を担当していたArtosis氏に直接行なったものです。

目次

e-sportsと実況

  • 「プロゲーマーを目指すと共に1人前の人間になれるよう努力すべきだ」
  • 「ゲームが好きだからこの活動を続けていられる」
  • 「Hearthstoneで選手になるか、キャスターになるかはケースバイケース」
  • 「収入がなかったとしてもこの活動を続けていただろう」
  • 「いずれ日本のゲーミングシーンにも触れてみたい」

Hearthstoneの可能性

  • 「Hearthstoneにはe-sportsとしての明るい未来がある」
  • 「1ターンに10枚ものカードをドローできるGadgetzan Auctioneerは問題だ」
  • 「本当にHearthstoneが単純なゲームだったらプロのプレイミスは絶対に生まれない」
  • 「もしNaxxramasで30枚のカードが一度に開放されていたらプロシーンはとんでもないことになっていただろう」

e-sportsと実況

「プロゲーマーを目指すと共に1人前の人間になれるよう努力すべきだ」

――2014 Taiwan Openでお忙しい中、インタビューを承諾いただきありがとうございます。まずArtosisさんご自身についてお聞きしますが、6年間韓国に住んでおられるとのこと、韓国語は流暢に話せるのでしょうか?

 私は韓国に住んで6年になり、また月に1~2回は韓国内を旅行しますが、それでも流暢に韓国語で会話できるほどではありません。質問したり、料理を注文したり、簡単な会話ができるぐらいです。コミュニケーションは取れるものの、韓国語の勉強はとても大変だと以前から感じています。

――去年の終わりに結婚(*1)されたそうですね。娘さんも生まれたとか。奥様は韓国の方なのでしょうか?

 いえ、彼女はカナダ人です。出会ったときは韓国で英語教師をしていました。今年の終わりには(出会ってから)3年になります。2人目の子供もやがて生まれるとは思いますが…いつになるかはわかりません(笑)。
(*1)Liquidpediaの記事によると「2013年11月27日に結婚。新郎新婦入場の際にはStarCraft 1の『Terran』のテーマ曲が流れた」という。

StarCraft I テランのテーマ


――ご家族の話が出たことでちょっとお聞きしたいことがあります。もしArtosisさんの娘さんが将来「プロゲーマーになりたい!」と言った場合、Artosisさんはその夢を応援されますか?

 娘が「プロゲーマーになりたい!」と言ったらですか? うーん、応援はすると思いますが、正しい方向でその道を歩めるように応援したいですね。一部のプロゲーマーはあまりにも不健康な生活を送っていますから。たくさん練習しながらも社会との付き合いや勉強、運動、食生活のバランスを取り、精神面の健康を保つのがとても重要だと思います。

 これは全員こうであるべきだというわけではありませんが、プロゲーマーになろうというするときは同時に、1人前の人間になれるようにも努力すべきではないでしょうか。

――e-sportsは全体として、そのような「正しい方向」へと向かいつつあるのでしょうか。

 e-sports全体で考えると、まだその道を模索している最中だと思います。「ゲームさえ上達すればいい」と考えるプレイヤーはたくさんいるかもしれません。しかし、最近では多くの選手が練習だけでなく日々の生活全般に注意を払うようになってきました。

 一部の選手、特に私のお気に入りであるLiquid TLO(*2)選手は良い例です。彼はゲームプレイと同時に健全な精神状態を保つべくひじょうに努力しています。こうした配慮はプロゲーマーにとってとても重要なことではないでしょうか。TLO選手のやり方と同じではないとしても、このような考え方はやがてプロゲーマー全員に広まっていくと思います。

 e-sportsシーンはまだ生まれたばかりです。業界はこれまで大きく発展してきましたが、それでも「完全なプロゲーマーを養成するにはどうすればいいか」をつかむにはまだまだ時間がかかることでしょう。
(*2)Dario "TLO" Wunsch(TLO/Liquidpedia)。オランダのStarCraft IIチーム「Team Liquid」に所属する24歳のドイツ人ザーグプレイヤー。

「ゲームが好きだからこの活動を続けていられる」

――今回実況を担当した2014 Taiwan Openの印象はいかがでしたか?

 予想をはるかに凌駕するすばらしいイベントだったと思います。映像が美しく、最高のプレイヤーがいて、舞台装置も完璧で、そしてものすごい量のファンが観戦していました。GSLやMajor Game Leagueなど、私が参加したほかのイベントと比べても引けを取らないクオリティです。その点に不満はまったくありません。
※サイト内2014 Taiwan Open関連記事:TWOP 2014/Nemukejp



Sen選手の優勝で幕を閉じた2014 Taiwan Openは演出面でひじょうに洗練されていた


2014 Taiwan Openの会場を埋め尽くす観客たち

――Artosisさんは2014 Taiwan OpenでのStarCraft IIの実況と同時に、毎週King Of The Hill(*3)のHearthstone実況も担当もしています。2つのゲームの実況解説を担当するのは大変ではありませんか?

 ええ、(戦術などが変化し続ける)両方のゲームをキャッチアップしていくのはとても大変です。HearthstoneとStarCraft IIは共にやりがいのあるゲームですが、そのシステムは全く異なっていますから、研究に多くの時間がかかります。
 しかしゲームの実況解説を行なうことは私の仕事ですし、好きなことなので多くの時間をそのプレイと研究にかけることも苦ではありません。

(*3)King of the Hill:コミュニティサイト「IHearthU」が主催する毎週の対戦イベント。Artosis氏に加え、同じくキャスターのErik "Doa" Lonnquist氏が毎回の実況解説を担当している。

King of the Hill #36 - Skip vs Powder


――どのようにして2つのゲームに費やす時間のバランスを取っているのでしょうか?

 「Hearthstoneの大会が多い週」「StarCraft IIの大会が多い週」というように、「今週何があるか」で変えています。Hearthstoneの仕事が多ければHearthstoneの研究とプレイ時間が増えますし、StarCraft2の仕事が多ければStarCraft2の研究とプレイ時間が増えます。特にやることがない週なら両方をプレイするという具合ですね。

――たとえば今大会(2014 Taiwan Open)はStarCraft IIですから、StarCraft IIのプレイ時間が増えていたというわけですね。

 ええ。ここまでの1週間の大半はStarCraft IIの研究に費やしていました。でもこの大会が終わればHearthstoneとStarCraft II両方の大会が控えていますから、それに合わせて両方のゲームをプレイする必要があります。


2014 Taiwan Openの会場で英語実況を行なうArtosis氏(奥)

「Hearthstoneで選手になるか、キャスターになるかはケースバイケース」

――Hearthstoneのキャリアについて聞かせてください。Artosisさんは以前「DogeHouse」というチームに所属し、「ESGN Fight Night」や「OGN Invitational」といった試合に出場していました。ArtosisさんはHearthstoneで選手とキャスター、どちらを目指しているのでしょうか?

 私も選手としてHearthstoneをプレイし、いくつかの大会で良い成績を収めてきましたが、今は大会でプレイする時間は多くありません。キャスターの依頼がたくさん来るからです。

 なので、選手になるか、キャスターになるかはケースバイケースですね。私の主な収入源はキャスターですが、他のプレイヤーと対戦するのも好きなので、機会があればぜひ大会に出場したいと思っています。

――試合といえば、Artosisさんも出場していた配信番組のESGN Fight Nightが今年6月に財政上の問題で破綻(*4)したことが話題となりました。約束の金額はArtosisさんに支払われたのでしょうか?

 いまだに全額の支払いは受けていません。金額の一部が支払われただけです。私はイベントでキャスターを務め、試合でもプレイしたのですが、潰れてしまったので今は何の連絡も取っていません。
 悲しいですが、残念ながらe-sportsは発展途中の業界なのでときどきこういうことも起こります。

(*4)ESGN Fight Nightなどの配信番組を手がけるeSports Global Network(ESGN)、財政難で給与・賞金未払いの問題が浮上/Nemukejp

Artosis氏が出場したESGN Fight Nightの試合動画

「収入がなかったとしてもこの活動を続けていただろう」

――実況について詳しく聞きたいのですが、Artosisさんがゲーム実況を始めたのは何がきっかけだったのでしょうか。

 私は昔から自分が真剣にプレイしているゲームについて語るのが好きでした。

 実況を行なったのは2007年に自分でStarCraftの大会を主催したのが最初ですね。当時StarCraftの実況は韓国語が大半で、英語の実況者はほとんどいませんでした。そこで大会を主催して英語実況をやってみたところ、ファンの皆さんがとても歓迎してくれたんです。私はStarCraftのプロゲーマーで、ゲームへの深い知識と情熱がありましたし。

 しだいに実況を担当する機会も増えていき、2008年には「韓国でプロリーグの英語実況をやらないか」というオファーが舞い込みました。(StarCraftが発展している)韓国には昔から行きたいと思っていましたから、すぐに引き受けることにしたんです。

 そして実況をすればするほど、この活動が好きになっていきました。挑戦的でしたし、好きなゲームをプレイして、好きなゲームについて話すのが楽しかったのです。最終的には最高の結果になったと思っています。


韓国のStarCraft IIの世界大会「GSL」で英語実況解説を務めるArtosis氏(左)とTasteless氏(右)

――e-sportsは今も昔も不安定な市場だと思いますが、それに打ち込むことについて、ためらったり不安になったりする気持ちはありませんでしたか?

 e-sportsに打ち込むことについてためらいを感じたことはありません。基本的にこの手の活動は「ゲームが好きだ」という思いから始まるもので、お金のためにやっているわけではないからです。
 ゲームを収入源にできたという意味で私はラッキーでしたが、仮に収入がなかったとしてもこの活動を続けていたことでしょう。これは私が自分の人生で時間を使う価値があると思っていることですから。

――収入といえば、実況者になる前にはどのような仕事をされていたのでしょうか。

 アメリカのウォルマート(*5)で働いていたことがあります。高校の夏休み期間中に始めたので2000年ぐらいからですね。そこでレジ打ちを担当したり、手押し車を押したり、お店を監督したりしていました。学校が再開すると同時に学業に戻って、夏休みに入ると再び働き始める、という具合です。よく覚えてはいませんが、全部で3年ぐらいでしょうか。

(*5)ウォルマート:アメリカの大手スーパーマーケットチェーン。日本では西友を子会社として出店している(ウォルマート/Wikipedia)。

――人気キャスターがウォルマートで働かれていたというのは意外です。

 そうですね(笑)。当時アメリカではStarCraftのプロゲーマーは多いときで年に約3000ドル(30万円)ぐらいしか稼げませんから、働かなければいけなかったんです。

「いずれ日本のゲーミングシーンにも触れてみたい」

――ところで、今までに日本を訪れたことはありますか?

 これまでに2回、東京に行ったことがあります。今年の初めに1週間、妻と子供を連れて東京ディズニーランドに行きました。そのときe-sports SQUARE AKIHABARAにも行ってみようと思っていたのですが、道に迷ってしまって…(笑)。
 最初に日本を訪れたのは3、4年前ですね。当時の彼女(今の妻)と一緒に原宿や秋葉原など、いろいろな観光地を見て回りました。韓国からだと飛行機代がとても安くてよかったです。

――日本のゲーミングシーンについては?

 私はStarCraftがメインなので韓国には詳しいのですが、日本のゲーミングシーンにはあまり詳しくありません。でも、「ストリートファイター」シリーズのプレイヤーの強さはよく耳にしていますし、ゲーム全般に興味がありますから、いずれ日本のゲーミングシーンにも触れてみたいと思っています。
 子供の頃から日本のアニメを見て育ちましたから、日本の文化にもすごく興味があります。機会があればまた日本を訪れてみたいですね。

Hearthstoneの可能性

「Hearthstoneにはe-sportsとしての明るい未来がある」

――将来Hearthstoneはe-sportsとして成功するでしょうか?

 Hearthstoneにはe-sportsとしての明るい未来があると思います。多くの人々が運の要素が強すぎるといいますが、私はそれがe-sportsの妨げになるとは思いません。

 Hearthstoneはプレイヤースキルに大きく依存するゲームです。もちろんプレイを続けていれば時には運で負けることもたくさんありますが、カードゲームというのが概してそういうものですし、たとえば(運要素の強い)ポーカーも競技として広く認知されています。
 Hearthstoneの大会では本当に下手なプレイヤーが勝利することはありません。最強と称されるプレイヤーが毎回勝利することはないとしても、大会で勝つのは決まってAmaz選手やRdu選手のような上手いプレイヤーです。

 試合を観戦するのも楽しいですし、HearthstoneにはStarCraft IIのようにe-sportsとして発展する可能性が大いにあると思っています。


先日開催されたWorld Championship EU地区最終予選ではArtosis氏(右端)が実況解説の1人を担当した


World Championship EU地区最終予選の会場風景

――Hearthstoneのシステムについての不満点はありませんか?

 いまだに観戦モードがないことが残念でなりません。私はKing Of The Hillでやっているような実況解説の活動をもっとやりたいのですが、観戦モードがないためにそうした映像コンテンツを作るのがとても難しくなっています。一刻も早く観戦モードが実装されてほしいですね。

「1ターンに10枚のカードをドローできるGadgetzan Auctioneerは問題だ」

――今(8月10日)のバランスについてはいかがでしょうか? 一部の人たちはMiracle Rogue(*6)が強すぎると語っています。

 Miracle Rogueはたしかにちょっと苛立たしくなるデッキです。強いですからね。でも強力なデッキはほかにもたくさんありますし、どうプレイするかを知っていればMiracle Rogueやその他のデッキをカウンターすることはできます。

 もしかすると一部のカードは修正が必要かもしれません。私が思うに、多くの人が修正を考えているのはPreparation、またはGadgetzan Auctioneerでしょう。この2つはMiracle Rogueの強さを支えているカードだと思います。

 ただ、私自身はあまり気にしていません。実のところMiracle Rogueをプレイするのも、それを相手にするのも同様に楽しく感じます。まあ、自分が使っているデッキが何かにもよるのですが(笑)。

(*6)Miracle Rogue:Rogueの低マナスペルとGadgetzan Auctioneerを組み合わせて大量のカードアドバンテージを獲得するデッキ。デッキの生い立ちなどはこちらMiracle Rogue 2.0/Hearthstone Dojo)に詳しくまとめられている。

――問題のGadgetzhan AuctioneerとPrepartationの効果を変更できるとしたら、どのように修正しますか?

 そうですね…。私だったら、おそらくGadgetzan Auctioneerをゲームから削除するでしょうね(笑)。ドローできるカード枚数がおかしいからです(笑)。「10枚のカードを1ターンでドローできる」というのはフェアではありません。やるとすれば根本的に修正する必要があります。

――削除してしまいますか(笑)。Preparationについては?

 Gadgetzan Auctioneerがなくなれば、Preparationは問題ではなくなると思います。ただ、PreparationがなくなればMiracle Rogueが弱くなるのは確かですね。というより、Miracle Rogueではなくなります。ただのCombo Rogueになるでしょう(笑)。

「本当にHearthstoneが単純なゲームだったらプロのプレイミスは絶対に生まれない」

――Hearthstoneのゲームシステムはいかがでしょうか? Magic: The Gatheringといったカードゲームと違い、相手のターンにできることがないので一部の人は「単純すぎる」と語っていますが。

 私はそうは思いません。Hearthstoneには多くの計算が必要で、かつ悩ましいターンもたくさんあります。私はトッププレイヤーたちとよく話しますし、彼らのプレイも解説しますが、完璧にプレイできる人はほとんどいません。Hearthstoneではプレイミスがよく現れます。「最善手が何か」について議論することもありますが、「これが正解だ」と言い切るのは難しいのです。

 したがって、私は「単純すぎる」というのは間違っていると思います。本当に単純なゲームであれば常に完璧なゲーム展開となるはずですし、プロがプレイミスを起こす場面も見られないはずですから。相手のターンに行動できないとしても、ターン中の選択肢はひじょうに多いのでとても複雑なゲームだと思います。

――Miracle RogueやRoar Druidなどの一部デッキは「コンボパーツを集めるだけでプレイヤー同士の駆け引きがない」とも言われています。このことについては?

 Miracle Rogueはいつでも問題です(笑)。このようなデッキに対してはカウンターのカードが必要になるでしょうね。そしてHearthstoneにはそうしたカードを取り入れ始めているように思います。たとえばLoathebのような相手の次のターンに影響するカードです。

 Miracle Rogueは1人でプレイする部分が多すぎてちょっと問題ですが、それ以外のデッキなら、プレイヤー同士の駆け引きは十分あると思います。

「もしNaxxramasで30枚のカードが一度に開放されていたらプロシーンはとんでもないことになっていただろう」

――アドベンチャーモード「Curse of Naxxramas(Naxxramas)」についてはどんな感想をお持ちですか?


 いろいろなボスと対戦し、その都度カードを入手できるNaxxramasは本当に楽しかったですね。Normalモードのほか、クラスチャレンジもまた凝った構成になっていました。一部のクラスチャレンジ…特にWebspinnerしか出てこないHunterのクラスチャレンジは傑作でしたね(笑)。

 Heroicモードは攻略法を見出すまでに何度もデッキを調整しなければならず、まるでパズルを解いているようでした。「Hearthstoneのもう1つの遊び方」という印象です。普通のRankedプレイとは全く違っていましたね。Rankedをプレイしたくないときはとてもいい気分転換になります。

――新カードでバランスが悪いと感じるカードはありませんか? 一部のプレイヤーは「Loathebが強すぎる」と語っていますが。

 たぶん、Loathebは将来オーバーパワーだと称されるかもしれませんね。でも、今はまだ違います。
 私はLoathebを「Roar DruidやMiracle Rogueのプランを狂わせるとても良いカード」だと思っていますが、「将来Loathebを見て『ちょっと強すぎるな』と思う日が来るかもしれない」ということです。
 今のところ(第3週開放時点)はゲームに新鮮味を加えるNaxxramasのカードをとても気に入っています。

――「合計30枚のカードを5週間かけて開放していく」というNaxxramasの手法についてはどう思いますか?

 新カードにゆっくりと適応する時間を与えてくれるこの手法はとても気に入っています。もし1度に全カードが開放されてしまったとしたら、プロシーンはとんでもないことになるでしょう。ものすごい数のデッキが試され、環境が安定するまで何ヶ月もかかるからです。(結果として今まで強かったプレイヤーも安定した成績を残せなくなります)。

 一方で毎週6枚のカードを開放するNaxxramasの手法なら環境も安定しますから、強いプレイヤーもトップに残りやすくなるのです。これがプロシーンにとっては良いことだと私は思います。

――Blizzardのアップデード速度についてはいかがですか?

 Naxxramasのシステムは気に入っているのですが、リリースまで(3月に発表されてから7月なので約4ヶ月間)相当長く待たされた感があります。次の拡張セットはNaxxramasよりも早い間隔で出す必要があるでしょう。

 ゲームのおもしろさを保つには新カードを提供して変化を加えることが重要です。Naxxramas以前も新しいデッキはいくらか出てきていましたが、新カードが増えれば新しいデッキもより頻繁に生まれるようになります。見ている側も(新鮮味が生まれ)おもしろくなるはずです。

――どうもありがとうございました。

 以上、Artosis氏のインタビューです。さすがにベテランの実況解説者だけあって、インタビューにもひじょうに慣れているように思いました。また、ちょっとした動作や受け答えの1つひとつがとても礼儀正しく、配慮に溢れていたのも印象的です。そんなArtosis氏ですから、インタビューでの「プロゲーマーであると共に1人前の人間であるべき」という言葉にはずっしりとした重みがありました。

 Artosis氏は日本にも興味を持っているということですから、ぜひ来日して日本のHearthstone&StarCraft IIのファンと交流してもらいたいですね。

 Artosis氏の活動及び関連情報は下記リンクをご覧ください。

Artosis氏の関連サイト

Twitter:@Artosis
Youtubeチャンネル:ArtosisTV

Wikipedia

Dan Stemkoski/Wikipedia
Artosis/Liquidpedia(Hearthstone)
Artosis/Liquidpedia(StarCraft II)

インタビュー

How two StarCraft commentators became stars/Polygon
The Casting Archon - Tasteless and Artosis Interview/GameSpot
DreamHack Stockholm 2014 Interviews: Artosis/Youtube

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