2014年12月19日金曜日

Red Bull 5G 2014:見る人の心に訴える出場選手のドキュメントムービーと、Red Bull 5Gが目指す大会の方向性

 12月21日(日)午後3時秋葉原で開催される5ゲームの国内頂上対決「Red Bull 5G」。その公式サイトでファイナリスト(出場選手)たちのドキュメントムービー(12月19日現在8本)が公開されています。

 動画は選手たちが「自分がゲームを始めたきっかけ」や「将来就きたい職業」といった自身の話を淡々と語る内容です。その語りの合間に選手の地元や生活の一場面が流され、ひじょうに印象的な仕上がりとなっています。

 僕はこれを見て「Red Bull 5G」という大会が目指している方向性がわかった気がしました。記事の後半にその感想を掲載しますが、まずは追記に埋め込んだ「レーシングゲーム『グランツーリスモ6』西側代表アユム選手&ねぎ選手のドキュメントムービー(約8分)」をチェックしてみてください。

Red Bull 5G 2014 - WEST RACING FINALISTS(追記をクリックすると動画が自動で再生されます)


元記事はこちら:Red Bull 5G 2014 - WEST RACING FINALISTSRed Bull 5G 2014

現象の表面ではなく人間の内面を伝えようとしたドキュメントムービー

 皆さんはどんなふうに感じたでしょうか。

 僕は「こういうのいいな」って思いました。無理してないんですよね。「こういうところを見てください!」みたいな変な主張が感じられない。自分を語る選手にも、動画の編集側にも。ただ選手たちは、「大会に臨む自分」を語っているだけなんです。

 そんな「選手の人間そのものを伝えよう」という試みは、今までのゲーム大会にはあまり見られないものでした。
 世界大会の国内予選といった大きな大会では、「そのゲーム大会がどれだけすごいのか」を伝えようとします。「世界ではすごく盛り上がっています」「賞金規模が大きいんです」「出場するのは皆、トップクラスのプレイヤーなんです」といった具合です。

 まあこれは、お金が絡む話なので、盛り上げないといけない面はあります。でも、これでは人を動かすことはできないんですよね。そのシーンを知らない人間から見たら、「そうですか、勝手に盛り上がっててください」としか思えない。なぜかというと、そういう話って、「物事の表面を伝えているだけ」で、「内面に訴えてかけてくるもの」がないからです。

 たとえば2009年にワシントン州のピュージェット・サウンドで開催された世界的な講演会「TED」で、コンサルタントのサイモン・シネックは、「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」と題したスピーチで、「人は『何を』ではなく『なぜ』に動かされる」と語っています。



”「例を示しましょう (中略)アップルが他の会社と同じだったらこんな CM を作るでしょう。『我々のコンピュータは素晴らしく、美しいデザインで簡単に使え、ユーザフレンドリー。ひとつ いかがですか?』いりません。我々のほとんどはこんなふうに伝えます。(中略)何をして、どう違い、どう優れているかを述べ、相手に何か行動を期待します。 (中略)これでは心を動かされません。
アップルならこんな風に伝えます。 『我々のすることはすべて、世界を変えるという信念で行っています。違う考え方に価値があると信じています。私たちが世界を変える手段は美しくデザインされ、簡単に使えて、親しみやすい製品です。こうして素晴らしいコンピュータができあがりました』一つ欲しくなりませんか? (中略)人は『何を』ではなく『なぜ』に動かされるのです」 ”
サイモン シネック: 優れたリーダーはどうやって行動を促すかTED.com日本語のトランスクリプトより一部引用)

 Red Bull 5Gの上記の動画は、選手たちの「なぜ」にフォーカスを当てた内容になっています。「Red Bull 5Gのファイナリストは皆、トップクラスの選手です」という紹介の仕方はしてません。「なぜ彼らはゲームをプレイし、Red Bull 5Gに臨むのか」という紹介の仕方をしています。だからシーンに詳しくない視聴者でも違和感なく、彼らの話を聴くことができるのです。

「ゲームを見せよう」から「誰でもわかる共通の体験を見せよう」へ

 Red Bull 5Gという大会は、「5つのゲームの決勝大会を一度にやる」という、ものすごく無理のあることをやっています。だって来場者が特定のゲームのプレイヤーだったとしても、彼らにとってRed Bull 5Gの「5分の4の時間」は自分がやってるゲームと関係のないわけですから。「自分の好きなタイトルの試合だけ見て帰ろう」というふうに思うのが普通です。僕も今年11月に開催されたBlizzardゲームの「BlizzCon 2014」では、自分に関係するHearthstone以外のゲームの決勝を見る気はありませんでした。

 そういう、関係ないプレイヤーたちを観戦に引き入れるには、「ゲームを見せよう」という考え方ではダメなんだろうと思います。見ている人たちに、「これは自分と関係しているものだ」と感じてもらう必要があります。「誰でもわかる共通の体験を見せよう」。これが、「Red Bull 5Gという大会が目指しているゲーム大会の形」ではないでしょうか。

 実際、僕は上記のドキュメントムービーを見て、レーシングゲームのアユム選手とねぎ選手に好感を持ちました。僕自身過去に何度も考えて悩んできた「ゲームをやっている理由」や「将来のこと」を、彼ら自身の口で正直に語っていたからです。「今は専門学校に通っていて、将来は整備士になりたいと思っています」というねぎ選手の話を聞いて、僕は「ゲーマーっていうより、車好きな人なんだな」という印象を受けました。

 「東と西のどっちが勝つ」といったものは、正直僕は自分に関係しているとは思えないのですが、「僕と同じような価値観を持っているかもしれない、選手たちがどんなふうに決勝大会を戦うか」という姿は、ぜひ見てみたいと思いました。

 僕がこの、ちょっとした思いを持てるようなるまでに、映像編集やインタビュー等、Red Bull 5Gの運営にはどれほどの労力がかかっていたのか。Red Bull 5Gプロジェクトアドバイザーの松井悠氏がファミ通のインタビューでこのあたりの話を語っていますので、興味がある方はぜひ目を通してみてください。

 Red Bull 5Gの開催は12月21日(日)午後3時AKIBA SQUARE。前売りチケットはこちらから購入することができます。選手たちの戦いぶりを、皆さんも現地でご覧になってみてはいかがでしょうか。
 大会の様子はニコニコ生放送でも配信される予定です。

Red Bull 5G ドキュメントムービー動画リンク

0 件のコメント :

コメントを投稿