2014年5月17日土曜日

eSportsニュース&バラエティ番組「eスポーツ MaX」第6回(5月11日放送)感想

eSportsニュース&バラエティ番組「eスポーツ MaX」第6回(5月11日放送)の感想です。

今回は以下の3部構成でした。
1.eスポーツニュース
2.うしろシティさんの「ウイニングイレブンを使ったeアスリートのピーポー選手とプロサッカー選手の三田啓貴選手、武藤嘉紀選手によるドリームマッチ」
3.桜めいさんの「eアスリートへの道」


視聴者の頭に焼き付けるために必要な情報
 今回のeスポーツニュースで報道されたのは「Counter-Strike: Global Offensive(CS:GO)の世界大会でNinja in Pajamasが優勝し、賞金約200万円を獲得した」ことでした。
 しかし、どうも頭に情報が入ってきません。なぜだろうと思ったら、「大会の名前・日付」といった基本的な情報がニュースに含まれていなかったんですね。一体どこの大会だったのだろうと思って調べたら、コペンハーゲンのe-sportsイベント、Copenhagen Games 2014で4月20日に開催されたCS:GOの大会、Trust Fona CSGO Tournamentのことでした。
参考記事(negitaku.org):『Trust Fona CSGO Tournament』で Ninjas in Pyjamasが優勝
 eスポーツニュースは今回のメインパートではありませんでしたが、番組で取り上げる以上はもう少し丁寧に情報を出さないといけないのではないでしょうか。ほかにも「何の説明もなくシーエスゴー(CS:GO)という略称を語りで使う」「優勝チームについて語りが『リベンジしました』と言ったのに後の説明が何もない」という点も気になりました。

ウイニングイレブンの具体的な操作方法を知りたかった
 今回のメインはうしろシティさんのコーナーだったと思います。うしろシティさんが番組製作の東島真一郎さんに呼ばれてサッカーグラウンドに行くと、ウイニングイレブンのトッププレイヤーピーポー選手と、ウイニングイレブンが好きだというFC東京のMF、三田選手と武藤選手を紹介されます。

 ここでまずは実力をチェック、ということでうしろシティの阿諏訪さんと三田選手が対戦しますが、この三田選手がかなり強く、あっとう間に得点されて大差で負けてしまいます。阿諏訪さんは続く武藤選手とも対戦しますが、こちらも見事なプレイで阿諏訪さんを圧倒します。

 ピーポー選手が登場すると、さすがにトッププレイヤーというだけのことはあり、武藤選手を相手に前半戦を3-1でリードして終了します。後半戦からは武藤選手に代わって三田選手がプレイすることになりました。ピーポー選手と三田選手の対決はどうなるのか、というところで次週に続きます。

 さて、「ウイニングイレブンのトッププレイヤーがプロのサッカー選手と対戦する」というのは、現実とゲームの対比ということでとてもおもしろい企画だと私は思います。しかし、私にはその題材をうまく生かせていたように見えませんでした。

 理由の1つは「ウイニングイレブンの見せ方」です。番組では「華麗なパス回し」「オーバーヘッドシュート」といった語りでプレイヤーのスーパープレイを紹介していました。しかし、「どんなふうに操作するとその動きができるのか」の説明がありません。「華麗なパス回し」というのも、それが「ボタンを押しさえすればプログラムが勝手にやってくれる」ものなのか、「プレイヤーが手動でゲーム内を複数の選手を同時に操作しなければいけない」ものなのか、ゲームをやったことのないプレイヤーにはわからないのです。
 現実のサッカーなら、誰もが持っている身体のことですから、「あんな動きは自分には無理だ」といったことがよくわかります。ここが観戦における現実のスポーツとゲームの大きな違いです。
 もしプレイのすごさを伝えたいなら、「導入部でウイニングイレブンの操作方法について説明する」「プレイヤーの扱うコントローラーの動きを見せる」というふうに、ゲームの操作方法から紹介していく必要があるでしょう。

伝聞よりも生の声を
 もう1つ思ったのが、「選手たちの情報が少ない」ことでした。たとえばピーポー選手、三田選手、武藤選手の3人に対して、「毎日何時間ぐらいウイニングイレブンをやっていますか?」「ウイニングイレブンのプレイをはじめたのはいつからですか?」といったゲームに関する質問がないのです。したがって私は選手たちが楽しそうにウイニングイレブンをやっていても、彼らのことがわからないので感情移入できませんでした。

 コーナーが終わって番組のステージに入ると、うしろシティさんの2人から三田選手と武藤選手の次のような話が出てきました。「三田選手と武藤選手はウイニングイレブンが大好きで、練習でへとへとになった後も2人でプレイするみたいです。ウイニングイレブンはサッカー全体を俯瞰して見られるので、それが実際の試合にも生かされているのだとか」

 しかし、私はこれを聞いたとき、「なんてもったいないんだろう」と思わずにいられませんでした。その話を聞いたなら、「うしろシティさんからの伝聞」としてではなく、本人とのインタビューの形で紹介するべきでしょう。
 参考として、「ベストセラー小説の書き方」という本のアクションシーンに関する章「アクション・アクション・アクション」に、「伝聞形式の記述は避けろ」という主旨の話があります。

”「スティーブン判事が殺されたんですって」といいながらジェニーは夫の書斎にとびこんできた。顔には恐怖がみなぎっている。
「なんだって」と叫ぶとバートは突然立ちあがった。椅子が音をたてて倒れた。「殺された? どんなふうに? いつ?」(中略)こんなドラマはまがいものといわざるをえない。本物のドラマなら、アクションを見せるはずである。まがいものは、伝聞の形で語ってみせるだけだ。しかも、それがいかにもわざとらしいことが多い”
* ディーン・R. クーンツ「ベストセラー小説の書き方」(朝日新聞社、1996年)181-182ページ

 これは小説のアクションシーンに関する話ですから、番組の内容作りとは手法が異なるかもしれません。しかし、「伝聞よりも生の声を語ってみせるべきだ」というのは、読者(視聴者)の興味を引くという意味で、どの分野にも応用できるものだと思います。
 普段の練習が終わってからもプレイするほどウイニングイレブンが好きだという三田選手と武藤選手なら、インタビューすれば「ウイニングイレブンの楽しさ」はもちろん、「現実のサッカーとウイニングイレブンは何がどう違うのか」といった、プロのサッカー選手にしかできない話を生き生きと語ってくれたことでしょう。そういった話が今回聞けなかったことが残念でなりません。次週で彼らによる濃密なトークが繰り出されることを期待しています。

全体的に内容が薄かった第6回
 最後の桜めいさんの「eアスリートへの道」は、「鉄拳の上達に悩んだ桜めいさんが、マット・伊達さんの運営する格闘ゲームのたまり場に行ってアーケードコントローラーの存在を知り、秋葉原のヨドバシカメラでMAD CATZのアーケードコントローラーを購入する」という内容でした。
 今回は以前に比べて桜めいさんよりも、ゲームにフォーカスが当たっていたように思います。格闘ゲームでコンボを出しやすくするにはコントローラーが重要だ、というのはおもしろいですね。「上級者になると(どの技を出そうとしているか)音でわかる」といった話があって、私にはとても新鮮でした。しかし、MAD CATZのアーケードコントローラーに決めるというだけでは、どうも内容が薄すぎるのではないでしょうか。

 eスポーツMaX、次回の放送は明日5月18日21時半です。全体的に今回は内容が薄かったという印象でしたが、次週、大きな進展が見られることを楽しみにしています。

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